2023 Fiscal Year Annual Research Report
非正規雇用形態で働く育児期の看護師のキャリア形成支援システムの検討
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19K19502
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
渡邊 里香 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (30822762)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | キャリア形成 / 雇用形態 / 看護師 / 看護管理者 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度にあたる2023年度は、2つの成果報告を行った。 ①育児期の非正規看護師のキャリア形成を取り巻く状況を明らかにするため、看護管理者を対象としたインタビュー調査を質的帰納的に分析した結果をまとめ、学術誌へ成果報告を行った。抽出された6 のカテゴリーは【非正規雇用での就業に先行する要因】【個人と組織の利益を両立させる受け入れ体制】【非正規雇用看護師の制限のある勤務時間・業務内容・学習機会】【多様な背景をもつ看護師の混在する職場の特徴】【多様な背景をもつ看護師のキャリア発達推進要因】【非正規雇用看護師のもつ強みの活用】であった。学習機会や業務内容に制限のある非正規雇用看護師の勤務実態が明らかとなったが 管理者の非正規雇用看護師への教育的関わりや 日勤固定である勤務の特徴 前職までの経験 生活経験などを強みとして業務に活かす関わりにより キャリア形成が促進されていることが示唆された。 ②育児期の非正規看護師の勤務実態を明らかにするため、上記のインタビュー調査から、勤務日数や勤務時間といった勤務状況、及び、夜勤・リーダー業務・受け持ち業務などの内容を量的に抽出し分析した結果をまとめ、日本地域看護学会学術集会にて成果報告を行った。11名の看護管理者のインタビューの中には29名の育児期非正規看護師の勤務実態が語られた。29名の平均勤務時間は正規看護師の6割程度であった。29名全員が時間外労働や夜勤を行う者はいなかった。業務内容は多くがフリー業務であったが、13名は受け持ちを実施しており、受け持ちをする看護師のほうがしない看護師よりも有意に勤務時間が長かったため、勤務時間の制限により業務内容の幅に違いが生じ、経験やキャリア形成に影響しうる可能性が示唆された。キャリア形成が妨げられることのない看護師の雇用のあり方やキャリア開発のあり方について、さらなる調査が望まれる。
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