障害や病いを持ちながら就業もしくは修学する看護職／看護学生による体験知の蓄積

2019 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 19K19513
• Research Institution: Tokyo Medical University
• Principal Investigator: 瀬戸山 陽子 東京医科大学, 医学部, 講師 (20649446)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: 障害学生 / 看護職 / 看護学生 / 語り / DIPEx / ナラティブ

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、障害や病いを持ちながら就業／修学する看護職や看護学生の語りを蓄積・分析することを通じて、当事者の体験を明らかにすることを目指した研究である。2019年度は、国内外の既存資料の系統的なレビューを進める計画であった。
既存資料のレビューにあたっては、日本語論文は医中誌Webおよび最新看護索引Web、英語論文はMEDLINE, CINAHL, google scholar, ERICを検索に用いた。国外、特に米国は特定の障害を持つ看護学生／看護職当事者に対する支援実践事例が多く公表されており、特に学生の就学支援に関しては、大学ごとのガイドラインへの言及が多く見られた。国内に関しても、障害別の当事者の困りごとや支援事例の公表は、少数ではあるものの多様な障害に関して事例が蓄積されつつあった。詳細なレビュー結果は現在公表に向けて分析中である。
当初2020年度に計画していた障害や病いを持ちながら就業／修学する看護職や看護学生の体験を持つ者に対するインタビューのうち、5名に関しては既にインタビューを終えている。インタビュイーの属性概要は、20代女性・聴覚障害、20代男性・肢体不自由、40代男性と30代男性・内部障害、40代女性・発達障害および精神障害であった。そのうち、内部障害の40代男性、30代男性、発達および精神障害の40代女性は、修学経験と共に就労経験を有していた。語られた内容は、修学に関しては、「進路選び」「大学選び」「入試でのサポート・配慮」「授業や実習でのサポート・配慮」「就職活動」といった内容が抽出された。また就労に関しては、「職場でのサポート・配慮」「職場や同僚への説明」「病いや障害を持つ看護職について」といった内容が見いだされた。
今後は、年代や障害区分、就業経験に関して、より多様なバリエーションを得られるようにリクルートを行い、インタビューを行う。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2019年度に行う計画であった既存資料の網羅的なレビューに関しては、国内外の文献データベースを用いた文献検索および収集を行った。データの収集は一部を除いてほぼ完了している。しかし、2019年度中にレビュー論文として学術ジャーナルへ投稿予定であったものが未だ分析途中で投稿にいたっていないため、進捗としてはやや遅れている状況である。
その一方で、2020年度に予定していたインタビューに関しては、現在5名分のインタビューが終了している。2020年度は既存資料のレビューを優先的に進めながら、インタビューによるデータ収集を継続するものである。

Strategy for Future Research Activity

今後に関しては、従来の計画通りインタビューを遂行する予定である。しかしながら、今般のCOVID19の影響により、当面の間、対面での長時間のインタビューができない可能性があるため、オンライン会議システムを用いたインタビューに代替することを現在検討中である。オンラインでのインタビューを行う場合は、インタビュイーと信頼関係を作りにくくなる危険性や、オンライン会議システムのセキュリティに関して十分に検討してから先に進めることとする。

Causes of Carryover

当初、2019年度に米国にある障害や病い持つ看護職の当事者団体（Exceptional Nurse）への視察・ヒアリングを計画していたが、2019年度に関しては先方と調整がつかなかったため、2020年度以降に見送ることとした。ただし、今般のCOVID19に際して海外渡航が当面難しくなる可能性がある。引き続き海外渡航が困難な場合は、オンラインでのヒアリングか可能かどうかを先方と検討し、渡航費として確保していたものはオンライン会議システム整備に充てる計画である。