2021 Fiscal Year Research-status Report
障害や病いを持ちながら就業もしくは修学する看護職/看護学生による体験知の蓄積
Project/Area Number |
19K19513
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
瀬戸山 陽子 東京医科大学, 医学部, 講師 (20649446)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 障害のある看護職 / 障害のある看護学生 / 当事者の語り / インタビュー / ナラティブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、障害や病いを持ちながら就業/修学する看護職や看護学生の語りを蓄積・分析することを通じて、当事者の体験を明らかにすることを目指した研究である。 インタビューに関しては、2019年度に5名(20代女性・聴覚障害、20 代男性・肢体不自由、40代男性と30代男性・内部障害、40代女性・発達障害および精神障害)、2020年度に2名(20代女性・聴覚と内部障害、20代男性・吃音)、に引き続き、2021年度は8名の追加インタビューを行った。8名は、70代女性・てんかん、50代女性・内部障害、60代女性・肢体不自由、20代男性・内部障害、50代男性・精神発達障害、40代女性・内部障害、30代女性・肢体不自由、20代男性・内部障害であった。 協力者のリクルートに関して、本研究では背景をできるだけ多様にするMaximum Variation Samplingの手法を用いている。すでに年代(20代~70代)や職場(大規模病院の病棟や外来、クリニック、訪問看護、企業看護師等)に関しては、幅広く協力を得られているが、その一方で障害に関しては視聴覚障害の協力者が少ない状況であり、今後リクルートを強化していく。 また、語られた内容に関しては現在分析中だが、例えば【職場や学校での調整】では、<教育現場での調整><夜勤の調整><配置の調整><仕事内容の調整><役割の調整>などがあった。また、【人間関係】では、<周囲(同僚・患者)への説明><同僚との関係><患者との関係><家族との関係>、さらに、【病いや障害とともに生きる・働く】では、<自分の体験が(看護に)いきること><病いや障害を得て分かったこと><今後の看護について>などが挙がっている。また、今後病いや障害をもちながら看護職を目指す者へのメッセージについても、当事者ならではの語りが聞かれている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現時点でインタビューは15名が完了し、病いや障害のある看護職の体験から、【職場や学校での調整】、【人間関係】、【病いや障害とともに生きる・働く】といったテーマが見出されてきた。 協力者の目標数は30名であるが、2019年より流行した新型コロナウイルス感染症の影響を受け、現職の看護職が多忙のためにインタビューの調整が進みにくい状況である。一部、感染症流行前に内諾を得られていた看護職も、多忙のために具体的なインタビューの日程調整が行えていない。また、感染症蔓延に伴って、ビデオを用いた映像記録を伴う対面でのインタビューが新規に行えていない状況である。2020年度より、オンラインのインタビューに切り替えて実施をしているが、その場合、インタビュー対象がオンラインの機器を使える者に限定されてしまうため、協力者の背景を考えた際にこのままオンラインのみで進めることが妥当であるかはプロジェクトチームで慎重に検討していく予定である。 また2021年は米国にある障害のある看護職の支援団体であるExceptional NurseやNational Organization of Nurses with Disabilitiesなどの活動視察を予定していたが、そちらも国外移動が難しく実現できていない状況である。 以上、オンラインでのインタビュー及び分析は進められているが、対面のインタビューは進められておらず、協力者の日程調整も当初の計画より滞っており、さらに、海外への視察に関しては目途が立っていないため、全体としては「やや遅れている」という状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の収束の目途が立たないため、本研究に関しては、引き続きオンラインでのインタビューを継続し、リクルートや実際のインタビュー調査を継続する。オンラインになることにより、例えば聴覚障害のあるインタビュイーとのインタビューが困難になるといった可能性も考えられるため、オンラインになることでのサンプリングバイアスが生じないよう、どのような方法であればインタビューが可能であるか、インタビュー協力者とも話し合い、入念に検討を行う予定である。また、今後感染流行の状況が落ち着き、十分に安全が担保された場合、対面でのインタビューを継続する計画もあるが、インタビュー協力者が対面を好まない可能性もあるため、プロジェクトチームとしてはどのような際に対面インタビューを行うかガイドラインを作成し基準を説明できるようにするとともに、インタビュー協力者本人の意向を最大限に尊重するものとする。 さらに障害のある看護師や看護学生を支援する海外団体への視察に関しては、未だ目途が立っていないが、感染流行の状況を考慮して調整を進めていく計画である。今年度中に渡航の目途が立たない状況であれば、オンラインでインタビューを設定し、日本でのインタビュー結果を伝えながら海外での具体的な取り組みについて、意見を仰ぐことを考えている。
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Causes of Carryover |
2021年度は、新型コロナウイルス感染症の影響があり、対面でのインタビューを継続できず、また障害のある看護職や看護学生を支援する海外組織への視察や、海外での学会発表を行うことができなかった。そのため地方でのインタビューに持ちる予定であった旅費や海外渡航のための旅費や学会費に計上していたものが未使用の状態である。 しかし、2020年度後半からはインタビューをオンラインで行っているため、インタビューデータ反訳のための費用や、協力者への謝金に関しては予定通り使用できている。視察や学会参加といった海外渡航に関しては依然として具体的な目途が立っていないものの、一部、渡航制限や帰国時の外出制限も緩和されているため、タイミングを見て、障害のある看護職を支援するNPO団体への訪問や、海外学会での情報収集・発表等を行っていく予定である。
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Research Products
(4 results)