2019 Fiscal Year Research-status Report
Contents and Structure of Generativity in Expert Nurses Nearing Retirement
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19K19518
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
藤原 史博 関西医科大学, 看護学部, 講師 (00584210)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 世代継承性 / 専門家アイデンティティ / ライフストーリー / 生涯発達 / エキスパート看護師 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、世代継承性自体や関連する概念について文献の収集ならびにレビューを実施した。看護学の範疇だけでなく、生涯発達心理学や経営学の分野をレビューした。既存の文献数や内容を整理したところ、現時点では生涯発達心理学の領域では多く取り組まれているものの、職業に関連した領域ではそれほど深められた概念であるとは言い難い状況であった。うち、特定の職人の師弟関係や技芸を修める少人数関係においては、現地での調査を経て成果が明らかになってきている。また、企業における組織人のキャリアにおける世代継承性についても既に論考が始まっているし量的調査もなされている。そこでは、世代継承性そのものだけでなく、アイデンティティ、創造性、親密性といった主要な概念との関連とも合わせて調査や議論がなされていた。しかし、看護職のように(1)組織に雇用される職業、(2)職務の内容に固有の専門性が伴う専門家、(3)他の職業集団とチームを形成しながら対象に働きかける職業といった、特有の特徴が揃う職業人の世代継承性については未だ明らかでなかったことが見出された。以上の状況についてレビューを進め、論文として著しているところである。また、2020年度から着手する予定である調査に向けて、研究者が既に作成しているインタビューガイドラインの改訂に向けて準備を進めている。ただし、世界的な感染症の流行による社会情勢の急激な変化が生じたことから、当初に予定していた対面によるインタビューによる調査の代替となる方法についても検討しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りの進捗であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、組織からの退出を控えたエキスパート看護師の協力を募り、自身が捉える世代継承性の内容や職業人生における位置づけ等に関して非構造化面接をおこないデータを得る。ここでのデータに基づいて面接ガイドラインの改訂に着手する。看護師の職務に関するライフストーリー中に散在する世代継承性の諸要素について、意図通りに聴取することが可能な質問項目を作成する。その後、複数回にわたる内容の洗練を経て、内容妥当性を担保したガイドラインを完成版とする。進捗として可能であれば本調査の実施と分析にも着手する。事前のプレテストの後に、完成した面接ガイドラインを用いて、組織からの退出を控えたエキスパート看護師と面接(本調査)し、データを収集する。最終的な研究協力者数は、理論的飽和を迎えることをもって確定する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 2019年度は既存の成果を体系的に統合すること、および世代継承性概念と関連概念をレビューし内容を整理すること、およびインタビュー項目の試作と既存インタビューガイドラインの改訂の必要性の検討を行ったことから、結果的に、当初の予定よりも関連学会での出席や発表を行う回数が少なく、旅費の計上がそれに伴い低額の執行となった。 (使用計画) 2020年度は実際に調査に着手する予定であるため、それにかかる旅費あるいは新型コロナウイルス感染症の流行を鑑みて遠隔での面接を行うための機材購入等に充てる予定である。
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