2020 Fiscal Year Research-status Report
看護教員の看護学実習における教育実践知の構造-省察的実践論を基盤として-
Project/Area Number |
19K19522
|
Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Principal Investigator |
井上 加奈子 熊本保健科学大学, 保健科学部, 講師 (80634360)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 看護学実習 / 看護教員 / リフレクション / 省察 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は研究参加者を選定し、フィールドでデータ収集(参与観察+インタビュー)を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症流行に伴い、看護学実習の中止などが生じ、データ収集を延期せざるを得ない状況が続いた。そのため本年度は、前年度に引き続き1)文献検討、2)データ収集の準備(研究方法の見直しと検討、研究参加者の選定)を中心に行った。1)では、医学中央雑誌web版、MEDLINEやハンドサーチにより研究テーマに関連する「臨床判断」や「リフレクション」、「省察的実践論」に関する文献の収集・検討を中心に行った。臨床判断に関する国内文献の多くはタナーの臨床判断モデルに言及していたことから、海外文献も含めて内容の検討を行った。その結果、実践における「リフレクション」が臨床的知識の発展に極めて重要であること、臨床的判断には「経験」が重要な意味をもつが、その役割については未だ十分に明らかにされていないこと等がわかった。2)については、コロナ禍の影響により、今後もフィールドへの立ち入りが制限されたり、病院での看護学実習が中止されることが予測されるため、研究方法の見直しが必要と考え、看護教育や省察的実践に関する研究を行っている研究者に今後の進め方について相談し、研究方法の検討・見直しを行った。また、関連する学会や研究会に参加し、研究方法について情報を収集した。コロナ禍の影響が持続する場合は、フィールドでの参与観察は行わず、オンラインを活用してインタビューのみでデータ収集を行っていく方法への変更も視野に入れてすすめていくこととなった。そのため、インタビューのみのデータ収集になることから、当初想定していた段階よりも、より詳細に自らの教育実践を語ることができる研究参加者(看護教員)を選定していく必要があることがわかり、現在研究に協力していただける参加者の選定をすすめているところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は研究参加者を選定し、フィールドでデータ収集(参与観察・インタビュー)を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症流行に伴い、病院での看護学実習の中止や実習形態の変更、病院への立ち入りの制限などが生じ、当初予定していたフィールドでのデータ収集を延期せざるを得ない状況があった。また、今後も社会情勢により予定していたフィールドでのデータ収集が困難な状況が続くことが予測されたため、研究方法の見直しや、研究方法の見直しに伴って新たな研究参加者を探すことに時間を要した。 当初予定していた関連する学術集会や研究会などへの参加も、オンライン参加が可能なものはオンラインで参加し、情報収集を行ったが、オンライン対応をしていないものは、コロナ禍により、県外への移動自粛で参加できない状況が続いた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度は以下の計画ですすめていく。 1)研究参加者の選定と協力依頼 コロナ禍の影響により、当初予定していたフィールドでの調査が難しいことが懸念されているため、フィールドを変更し、現在、県内・近県の看護教員に研究の趣旨について説明し、協力を依頼している状況である。同意が得られればデータ収集に入れる予定である。コロナ禍の影響により、同意を得ることが難しい状況が生じた場合には、看護教育や省察的実践をテーマにしている研究者に、看護学実習での教育実践経験があり、自らの教育実践を詳細に語ることができる看護教員を紹介していただき、協力依頼を行っていく予定である。
2)データ収集・分析 新型コロナウイルス感染症の流行状況や感染予防上、フィールドでの調査が困難な状況が予測されるため、その場合は参与観察は行わず、オンライン等を活用しながらWEB上で1回60分程度のインタビューを行い、状況に応じて複数回のインタビューを実施しながら、データ収集・分析をすすめていく。分析の結果は関連学会で公表していく。
|
Causes of Carryover |
本年度はコロナ禍により研究の進捗が遅れ、データ収集・分析を実施することができなかったため、当初予定していたデータ収集や分析で使用するはずであった諸経費を使用することがなかった。また、研究会や関連する学会への参加がオンラインによる参加となったため、学会旅費等を使用することがなかった。 次年度は、データ収集・分析を実施する予定であるため、それに伴う旅費やトランスクリプト費等に使用する。
|