2023 Fiscal Year Annual Research Report
看護系大学での経験、学修および生活が就職後の組織適応に及ぼす影響
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19K19539
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
保田 江美 国立保健医療科学院, 医療・福祉サービス研究部, 主任研究官 (20803258)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大学から仕事へのトランジション / 組織適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、看護系大学で学ぶ学生の学生時代の経験、学修や生活が就職後の組織への適応に及ぼす影響を検討することであった。 本年度の計画は、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑み、①研究方法の一部を修正し、より回収率を高める調査方法の検討をおこなう、②インターネット調査会社の登録者のうち本研究の対象者に対し、調査を実施する、②収集したデータを分析し、成果をまとめる、ということであった。 計画①に関し、当初予定していた研究対象者の条件を緩和した。具体的には4年課程看護大学を卒業し、働き始めて2年目の看護師で、100床以上の病院に勤務する看護師1000名から、WEB調査会社のモニターで、3年課程看護専門学校もしくは、3年課程看護短期大学もしくは、4年課程看護大学を卒業し、看護師として働き始めて2~5年目の看護師で、20床以上の病院に勤務する看護師300名に変更した。 2023年12月に調査を実施し、148名より回答を得た。回答者は、男性が14名、女性が133名、未回答が1名であった。4年課程看護大学を卒業した看護師がもっとも多く97名(65.5%)であった。重回帰分析の結果、看護基礎教育課程1~2年次の基礎看護技術に関する演習での経験学習および3年次の臨床実習での自己効力感、看護基礎教育課程全体の満足度が組織の適応に影響を及ぼすことが明らかになった。組織適応には、組織への適応と文化への適応が存在するが、そのどちらにおいても同様の結果を得た。看護基礎教育課程から看護師へのトランジションにおいては、卒後教育の重要性を指摘するものが多かったが、看護基礎教育課程早期から経験を学びにする力を醸成し、実習において学生の自己効力感を高める経験の付与や関わりをおこなうといったことも重要であると示唆された。本結果についてさらに詳細に分析、考察し、論文として社会に公表する予定である。
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