2020 Fiscal Year Research-status Report
覚醒状態にある人工呼吸器装着患者の主体性に着眼した、ICU看護師の看護方法の解明
Project/Area Number |
19K19560
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
阿部 誠人 岐阜大学, 医学部, 助教 (00812603)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 浅い鎮静 / 覚醒状態 / 人工呼吸器装着患者 / 主体性 / セルフケア / 整容 / 実態 / ICU看護師 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、覚醒状態にある(浅い鎮静管理もしくは無鎮静管理が行われている)人工呼吸器装着患者に対してICU看護師が行うセルフケア支援(本研究では「患者が主体的な日常生活動作が行えるようにケアへの参加を促すこと」と定義)の実態を明らかにすることを目的としている。 2019年度は、文献検討と研究者、専門家間での討議を行い、調査内容として覚醒状態にある人工呼吸器装着患者に対する整容(①歯磨き②顔面清拭③髭剃り④整髪時)の各支援手順43項目を精選し、日本集中治療医学会専門医研修施設から無作為抽出して研究許諾が得られた58施設のICU看護師1110名を対象に郵送調査を行った。 2020年度は郵送調査で得られたデータの分析を進めた。研究対象となったICU看護師517名(回収率:46.5%)からの回答を得た。回答に不備があった研究対象者は除外し、474名(有効回答率:91.7%)を分析対象とした。分析対象の平均年齢は32.6±7.1歳であり、看護師経験年数の平均は10.7±6.9年目、ICUでの勤務経験年数は6.4±3.8年目であった。セルフケア支援の実施率の特徴として、支援手順43項目を実施率が高い順に並べると、「歯磨き時に患者自身で開口してもらう(93.9%)」、「患者自身にタオルで顔を拭いてもらう(66.7%)」、「タオルを渡し、患者自身でタオルを持ってもらう(66.2%)」などの項目が上位となった。一方で最も実施率が低かったのは、「患者自身で歯ブラシに歯磨き粉を載せてもらう(17.4%)」であり、次いで「患者自身で歯ブラシを湿らせてもらう(19.8%)」、「患者自身で髭のそり残しを確認して剃りなおしてもらう(22.3%)」などの項目が下位となった。また、各支援項目の内実施率が5割を超えていた項目は7項目のみであり、全般的にセルフケア支援の実施率が低い傾向にあることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、当該年度中に分析を終え、論文執筆の段階に入っている予定であったが、COVIT-19の影響で研究者が十分な研究エフォートを割くことが難しい状況に陥り、データ分析に若干の遅れが生じてしまっている。しかし、データ分析は最終段階まで進んでおり、研究全体としては大きな遅れは無いと評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、覚醒状態にある人工呼吸器装着患者に対してICU看護師が行うセルフケア支援の実施率と研究対象者の背景との関連について分析を進めていくと共に、論文執筆を行い学会などを通じて研究成果を公表していく。
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