2020 Fiscal Year Research-status Report
若年者の自殺予防チェックリスト開発と対策モデルの構築
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19K19561
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
青石 恵子 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (00454372)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中学生 / 自殺者数の増加 / COVID-19 |
Outline of Annual Research Achievements |
若年層の自殺死亡率が横ばい~増加している現状から「子ども・若者の自殺対策を更に推進する」ことが重点施策として挙げられており、若者への支援の充実が求められている。 本研究は自殺率の高いM県において中学生を対象にした自殺親和状態尺度を使った調査による基礎資料を基に、① 自殺関連行動・状態についての具体的な手掛かりを得る自殺危険因子の精選、② 自殺予防対策に資する中学生の生活チェックリストの作成、③ 地域に密着した生活習慣・行動と自殺の要因となる危険因子との関連をもとにした中学生自殺対策モデルの構築を目指す目的で実施している。 本年度は、2019年にやり残していた中学校の学校長または教頭、担任を持つ教師、養護教諭を対象として、今後の関係性を構築するために学校関係者が抱く「自殺」に対する認識をインタビュー調査で確認し、学校関係者が懸念する自殺予防対策への抵抗感や拒否感を共有することから始める予定であったが、年度当初からの緊急事態宣言でリクルートが出来なかった。自殺率の高いM県における中学生(校)を対象とすることが研究の1つの目的であるが、M県での調査は県を跨ぐ移動を伴うため、研究の遂行を考えると、自県における中学校に対象を切り替えることやCOVID-19を考慮した広義の自殺対策について検討することが求められている。2020年の児童生徒の自殺者数は479名で、前年度の1.4倍であり、8月における自殺者数は前年度の約2倍となっている。COVID-19による学校および家庭環境の変化が若年者の自殺に拍車をかけていると考えられる。これらのことから自殺の問題はM県だけの問題ではないと考え、対象地域を拡大していくこととこれまでの生活環境の概念を取っ払い、新しい学校環境、家庭生活環境を視野に研究計画の修正を図っていくことで研究計画の軌道修正をする結論を出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、2019年にやり残していた中学校の学校長または教頭、担任を持つ教師、養護教諭を対象として、今後の関係性を構築するために学校関係者が抱く「自殺」に対する認識をインタビュー調査で確認し、学校関係者が懸念する自殺予防対策への抵抗感や拒否感を共有することから始める予定であったが、年度当初からの緊急事態宣言でリクルートが出来なかった。そのため、インタビューデータを分析し、それをもとにして、「自殺予防対策に資する中学生の生活チェックリスト」(案)を作成するところまで実施が進んでいない現状である。教育現場の混乱もあって中学校の教員をリクルートすることは困難であり、しばらく状況を見守ることでリクルートの機会を探っている。中学生に活用できそうな自殺や気分障害に関する尺度を検索し、チェックリスト作成に役立つ情報収集を進めるとともに、COVID-19で人との交流が制限される孤独感や保護者の経済的困窮などによって自殺者が増加している背景を探る情報収集を中心に可能な範囲の研究を進めている。 しかしながら、研究の遂行を考えると、自県における中学校に対象を切り替えることやCOVID-19を考慮した広義の自殺対策について検討することが求められている。2020年の児童生徒の自殺者数は479名で、前年度の1.4倍であり、8月における自殺者数は前年度の約2倍となっている。COVID-19による学校および家庭環境の変化が若年者の自殺に拍車をかけていると考えられる。これらのことから自殺の問題はM県だけの問題ではないと考え、対象地域を拡大していくこととこれまでの生活環境の概念を新しい学校環境、家庭生活環境を視野に修正し、現状に合わせた研究計画の変更を検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究対象地域を拡大していくことを考えている。特にCOVID-19によって県を越えての調査ができないことを踏まえて、自県で調査を行うこと、オンライン等を活用して調査方法を変更していく。これまでの生活環境の概念を新しい学校環境、家庭生活環境を視野に修正し、現状に合わせた研究計画の変更を行い、早期に倫理申請を進めてデータの収集を行う。計画の遅れを取り戻し、成果が出せるよう、日常業務の見直しを図り、本研究に従事できるエフォートを確保できるようにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症により、県を跨いだ移動ができなくなり、旅費を使うことがなかった。また、インタビュー調査の実施も見通しが立たず、断念したこともあり、謝金も発生しなかったことが、残金が生じた理由である。 次年度は新型コロナウイルス感染症の蔓延状況を見極めて、県外の対象者の調査から、同県内の対象者を選定することで研究の遂行ができるよう研究対象者を検討することを考えている。
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