2020 Fiscal Year Research-status Report
一般科看護師のためのBZD系薬剤漸減時の離脱症状アセスメントツールの開発
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19K19564
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
岩本 祐一 大分大学, 医学部, 講師 (00734659)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 看護実践 / ベンゾジアゼピン系薬剤 / 離脱症状 / 尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、向精神薬であるベンゾジアゼピン系薬剤(以下、BZD系薬剤)の漸減時における反跳性症状・離脱症状に焦点を当てた看護ケア尺度を開発し、妥当性および信頼性の検証を行なうことである。BZD系薬剤は、抗不安・睡眠薬として広く用いられるが、依存性の高さや長期処方の問題から処方の漸減が推進されている。また、減薬により一過性に反跳性の症状が出現するため、患者の苦痛も大きく、これらが漸減の失敗に繋がる大きな要因とも言われる。本尺度を活用することにより、BZD系薬剤漸減時における看護ケアが明確化され、看護師の薬物治療への積極的な参画、課題とされている精神的側面への看護介入の質向上に繋がると考える。ひいては患者の苦痛の軽減と継続的な薬剤漸減の促進にも繋がると考える。 今年度は、昨年度に作成した実態調査のための質問項目を用い、BZD系薬剤治療中の患者に対して豊富な介入の経験を持つ病棟主任以上、または高度実践看護師など、エキスパートレベルの看護師6名に対し、半構成的面接にて1時間程度のインタビューを実施した。インタビュー調査から、BZD系睡眠薬服用中の患者に対する看護実践に関する226コードをプールした。それらのデータをBennerが分類した7領域の看護実践能力に関する理論と薬剤漸減におけるDeprescribingの双方の枠組みを用いて分析、さらに先行文献や専門家会議にて検討を重ね、BZD系薬剤治療中の患者に対しての看護実践がDeprescribingの枠組みの中で個別的に展開されていることを明らかにした。現在、これらの看護実践を評価するための尺度項目を抽出し、尺度の完成を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は当初、インタビュー調査にて明らかにしたBZD系薬剤漸減時の看護実践から、BZD系薬剤治療中の患者に対しての看護実践自己評価尺度の項目を抽出し、パイロットスタディ、その後大規模調査に移る予定であった。しかし、COVID-19の影響からインタビュー調査の調整等が難航し、実態調査の実施の時期が当初の計画より遅れてしまった。このような理由から当初の計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、インタビューによる実態調査、先行文献、専門家会議によって抽出されたBZD系薬剤服用中の患者に対する看護実践評価尺度案を用いてパイロットスタディを実施する予定であり、その対象者の選定を急いでいる。その後、尺度完成に向けた大規模調査に移っていく。
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Causes of Carryover |
尺度開発のための大規模調査が、本年度から次年度にまたぐ結果となり、繰越金が生じた。この大規模調査を行うにあたって、印刷費、郵送費、人件費が早急に必要となる。次年度の研究目的を達成するために、研究計画にしたがって、パイロットスタディの実施と全国に向けた大規模調査を早急に進めていきたいと考える。また、国内の学会発表にて、得られた研究成果を周知するための旅費や翻訳費用、研究協力者との研究に関する打ち合わせのための旅費等に使用していく。
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