2021 Fiscal Year Research-status Report
一般科看護師のためのBZD系薬剤漸減時の離脱症状アセスメントツールの開発
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19K19564
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
岩本 祐一 大分大学, 医学部, 講師 (00734659)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 看護実践 / 尺度 / 睡眠薬 / 認知症患者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、向精神薬であるベンゾジアゼピン系薬剤(以下、BZD系薬剤)の漸減時における反跳性症状・離脱症状に焦点を当てた看護ケア尺度を開発し、妥当性および信頼性の検証を行なうことである。BZD系薬剤は、抗不安・睡眠薬として広く用いられるが、依存性の高さや長期処方の問題から処方の漸減が推進されている。また、減薬により一過性に反跳性の症状が出現するため、患者の苦痛も大きく、これらが漸減の失敗に繋がる大きな要因とも言われる。本尺度を活用することにより、BZD系薬剤漸減時における看護ケアが明確化され、看護師の薬物治療への積極的な参画、課題とされている精神的側面への看護介入の質向上に繋がると考える。ひいては患者の苦痛の軽減と継続的な薬剤漸減の促進にも繋がると考える。 今年度は、昨年度実施した予備的調査を基に、「睡眠薬服用中の認知症患者に対する看護実践自己評価尺度(全29項目)」を作成し、妥当性と信頼性を検証すべく全国規模の質問紙調査を実施した。認知症疾患医療センターを併設する全ての病院343施設(2021年6月時点)に対して施設協力承諾書を送付、研究協力の承諾を得た89の施設・2207名の看護師を調査の対象とした。さらにその中で、精神科での経験を有し、同意の得られた525名を分析対象とした(有効回答率95.8%)。探索的因子分析の結果、3因子16項目の尺度が完成した。さらに、共分散構造分析による適合度は良好であり、構成概念妥当性が検証された。また、外的基準との相関から、基準関連妥当性が検証された。加えて、内的整合性が確認されたことから、信頼性が確認された。以上のことから、睡眠薬服用中の認知症患者に対する看護実践自己評価尺度は妥当性及び信頼性が確認され、認知症看護の質向上に有用な尺度であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は当初から、昨年度の予備的調査を基に、「睡眠薬服用中の認知症患者に対する看護実践自己評価尺度(全29項目)」を作成し、妥当性と信頼性を検証すべく全国規模の質問紙調査を実施する予定としていた。質問紙の郵送作業、同意取得、データ収集、データ分析についても比較的スムーズに進んだこともあり、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
完成版「睡眠薬服用中の認知症患者に対する看護実践自己評価尺度」の公表(海外ジャーナル)に向け、さらなる分析・投稿準備を進めていく。また、研究成果について協力施設に送付していく予定としている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由については、国内の学会発表にて、得られた研究成果を周知するための旅費や、研究協力者との研究に関する打ち合わせのための旅費等に使用することを計画しており、さらには、完成した「睡眠薬服用中の認知症患者に対する看護実践自己評価尺度項目」の公表(海外ジャーナル)に向け、論文作成に関わる英文校正などの費用を捻出するために生じた。
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Research Products
(2 results)