2020 Fiscal Year Research-status Report
食事ができる非利き手箸操作の獲得に向けた練習の効果と方法の確立
Project/Area Number |
19K19580
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Research Institution | 湘南医療大学 |
Principal Investigator |
大森 圭貢 湘南医療大学, 保健医療学部リハビリテーション学科理学療法学専攻, 教授 (60804226)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 食と環境 / 生体情報・計測 / 理学療法学 / 作業療法学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、食事摂取に必要な箸操作の獲得に向けた非利き手の箸操作練習の効果と、非利き手での実用的な食事摂取に必要な箸操作の能力水準およびその獲得に必要な練習期間を明らかにすることである。 地域在住の成人を対象に、毎日の1食を非利き手で箸を操作して摂食する練習を2週間行い、その実食の感想を自覚的な訴えとして記録を依頼した。また練習前後で筋力、手指の巧緻性、疑似食材を用いた非利き手での箸操作能力と筋活動、実食を用いた非利き手での箸操作能力を評価した。 昨年度より3名を増えた地域在住成人6名では、毎日の1食を非利き手で箸を操作して摂食する練習を全員が実行,記録ができた。実食練習中の自覚的な訴えは、6名中5名に身体に関する訴えがあり、そのうち3名は頭痛・肩こり、指先の痛み、手首のしびれ、筋肉痛といった身体の痛み関するものであった。2名は、箸操作をしている反対の手に力が入ってしまう、力を入れる加減が難しい、顔が食器に近づいてしまうなど動作に関するものであった。精神に関するものは、6名中3名で訴えがあり、「お腹はいっぱいになるが、食べた気がしない」、「疲れすぎて味がわからない」、「イライラする」であった。そのほか「毎日納豆を食べていたはずが、嫌になってしまった」、「落としてしまう前に早く食べようと早食いになる」、「魚の皮が難しい」、「細長いもの、麺が難しい」、「ラーメン食べるのが楽」など負の事象と考えられるものが多いほか、食べ物の違いによる難度の違いを示していた。 非利き手で箸操作をしての実食練習は、身体的、精神的に負の事象を起こしやすい可能性が考えられる。また摂取しやすい食べ物とそうでない食べ物があり、それには個人差もあった。非利き手で箸操作をして摂取しやすい食べ物やその形態を探ることは、非利き手の箸操作練習の実行性や効果に関わる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19感染症拡大予防のため、対象者が研究実施場所へ通うことが出来なかった.また対象者の新規の募集もできなかった。このため得られたデータは目標数を大きく下回った。このような状況から、本年度は信頼ある統計学的検証ができるまでのデータを得ることができず、自由意見からの今後の課題を得るにとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19感染症拡大の予防に伴い、当初予定していた頻度で被験者が研究実施場所へ通うことが困難な状態は、今後も短期間に改善するとは考え難い。まずはCOVID-19感染症の第4波が落ち着いた時期に短期にデータを収集することに努める。また緊急事態宣言が発出されていない地域での被験者の参加を呼びかける。 研究データの収集が、9月以降にずれ込んだ場合には、練習は自宅での「非監視型」に統一する。そして自宅での非利き手で箸を操作しての実食時の困難度やその感想を自由記述で記録するように依頼し、非利き手で箸操作をして摂取しやすい食べ物についての質的分析への変更も考える。
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Causes of Carryover |
対象者の新規の募集ができず、人件費・謝金が計画通りに支出されなかった。また学会参加による旅費の支出もなかった。謝金は、コロナ禍においても研究参加へしやすい研究方法、そして評価指標を取り入れ、研究対象者数を増やすことでの支出を計画する。それに合わせて、人件費としての支出を計画する。学会参加による旅費の支出については、COVID-19感染症が落ち着いたタイミングで、研究分野の情報を得るために、学会参加を計画する。
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