2021 Fiscal Year Research-status Report
食事ができる非利き手箸操作の獲得に向けた練習の効果と方法の確立
Project/Area Number |
19K19580
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Research Institution | 湘南医療大学 |
Principal Investigator |
大森 圭貢 湘南医療大学, 保健医療学部リハビリテーション学科理学療法学専攻, 教授 (60804226)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 食と環境 / 生体情報・計測 / 理学療法学 / 作業療法学 / 生涯発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、食事摂取に必要な箸操作の獲得に向けた非利き手の箸操作練習の効果と、非利き手での実用的な食事摂取に必要な箸操作の能力水準およびその獲得に必要な練習期間を明らかにすることである。 地域在住の成人を対象に、毎日の1食を非利き手で箸を操作して摂食する練習を2週間行い、その実食の感想を自覚的な訴えとして記録を依頼した。また練習前後で筋力、手指の巧緻性、疑似食材を用いた非利き手での箸操作能力と筋活動、実食を用いた非利き手での箸操作能力を評価した。 現在まで、地域在住の65歳以上の健常者12名と65歳未満10名の22名のデータが収集できた。データ集できた全対象者が、毎日の1食を非利き手で箸を操作して摂食する練習を実行し,その記録ができた。非利き手で箸を操作しての食事の満足度は,65歳以上の者12名中8名で向上し,食事の疲労度は9名で減少した.非利き手で箸操作をしての食事の困難度は11名で減少し,食事に要する時間は有意に短縮された.65歳未満の者では、食事の満足度は10名中9名で向上し,食事の疲労度と困難度はいずれも9名で減少した。食事に要する時間は全員で短縮した.改善した者の割合は、65歳以上の者と未満の者の間で有意差はなかった。介入前後の身体運動機能は,多くの項目で変化がなかった. 実食練習中の自覚的な訴えは、65歳以上では痛みや攣る感じなどの身体的苦痛を訴えた者が7名、イライラといった精神的苦痛を訴えた者が3名であった。65歳未満の者では身体的苦痛を訴えた者が6名、精神的苦痛を訴えた者が4名であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19感染症拡大予防のため、研究対象者の募集が進まなかった。このため得られたデータは目標数を大きく下回っている。 しかしながら対象者数は、徐々に積み重ねることができ、65歳以上、65歳未満とも統計学的検証ができるまでのデータを得た。
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Strategy for Future Research Activity |
4月から8月上旬までは毎週水曜日に1名ずつ、研究データの収集を行う。夏季休暇時には週2名の研究データの収集を行い、2022年中に対象者数を36名追加する。そして65歳以上の者、65歳未満の者とも25名以上の対象者で統計学的検証をすることを目標とする。 現在、実食練習を行う者のみでの検証であるため、医学的リハビリテーションの臨床で非利き手での箸操作練習として行われているプラスチック片などを移動する練習を行う群、評価だけ行う対照群との比較が必要と考えている。所属機関での研究倫理審査委員会での審査を受けるため、研究倫理審査書類を作成して提出した。5月の研究倫理審査委員会での審査を受ける。
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Causes of Carryover |
研究データの収集が予定より進まずに、研究参加者への謝金が予定より低額にとどまった。また論文投稿にいたらなかった。 2022年度は、研究の進行の遅れで消費期限が過ぎてしまった食材の再購入、研究参加者および研究補助者への謝金、学会参加費そして論文投稿費として予算を執行する予定である。
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