2020 Fiscal Year Research-status Report
前立腺全摘除術後患者のための尿失禁回復支援プログラム
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19K19581
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
藤浪 千種 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 准教授 (30455026)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / 尿失禁 / 前立腺全摘除術 / セルフマネジメント / 看護介入 / プログラム / 患者 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、2019年度の研究成果と新たな文献検討の追加により、腹圧性尿失禁の病態を有する患者のセルフマネジメントに焦点を当てたプログラムのアルゴリズムを作成した。アルゴリズムは、①術前のベースライン調査(排尿日誌・排尿状況・QOL)、②術前の指導、③術後バルーンカテーテル抜去後から24時間の排尿日誌と排尿状況の評価、④必要な支援方法の決定、⑤対処方法の実践、⑥効果評価、となった。排尿日誌は、排尿時刻・排尿量・尿失禁の有無・尿失禁の量・残尿量(術後)の記載を行い、記録期間は術前3日間、術後はバルーンカテーテル抜去後24時間、退院後は経時的評価の中で3日間の記載とした。排尿状況の調査は、尿意の有無、腹圧がかかる際の失禁の有無、常に尿が漏れる症状の有無、排尿するまでに我慢ができるか否か、排尿回数、排尿時に腹圧が必要か否か、等について、排尿日誌記録時期に同時に確認することとした。尿失禁への対処法は、生活指導、膀胱訓練、骨盤底筋訓練、間欠的導尿、排尿誘導、超音波補助下排尿誘導、でありこれらを組み合わせ実施することとした。生活指導は、食事・飲水・カフェインアルコールの摂取・排泄時の体位・排泄用具の選定、骨盤底筋体操の方法は、収縮運動を40-100回/日×2回を基本とし、尿失禁がなくとも1~3か月継続すること、正しい訓練が行われているかを医療者が評価することとした。なお、尿失禁への対処方法の決定は、複数の判断基準があるため、プログラム専用の判断指標を開発する必要があることが明らかとなった。さらに、尿失禁への対処方法決定後に、それらを患者が継続実施する仕組みや、排尿ケアチームの活動(対象者のスクリーニング、下部尿路障害の予測、包括的排尿ケアの計画等)と連動できる内容とする必要があることも確認された。以上から「前立腺全摘術後患者のための尿失禁回復支援プログラム:第2案」を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度「前立腺全摘術後患者のための尿失禁回復支援プログラム:第2案」が作成できたが、COVID-19の感染拡大による影響を受け、予定していた専門家会議によるプログラムの安全性・信頼性・表面妥当性の確認やデルファイ法による調査が実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度後半に入り、専門家会議メンバーが所属する施設の遠隔会議システムの整備が進み、研究の調整や専門家会議を実施できる環境が徐々に整ってきた。そのため今年度は2020年度に予定していた専門家会議を実施する計画である。しかし、COVID19の感染拡大に伴う研究施設の負荷は継続しているため、昨年同様に急な研究中止や延期も十分に予測されることから、他の研究施設の開拓を進めていく。また、2020年度に計画していたデルファイ法における調査であるが、現状では全国的な調査が困難であることが見込まれるため、複数の施設における複数回の専門家会議の実施に切り替える事も検討している。
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Causes of Carryover |
COVID-19の感染拡大により、研究実施予定施設における研究の調整が進まなず、当初予定していた研究計画がほとんど実施できていないため。残金については、次年度計画している専門家会議の謝礼や、専門家会議を経て修正されたプログラムに対する医師・看護師等専門職による専門的知識の提供の謝礼で使用する。
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