2020 Fiscal Year Research-status Report
看護職のための簡便かつ効果的な禁煙サポートツールの開発と評価
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19K19582
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
谷口 千枝 愛知医科大学, 看護学部, 准教授 (60738251)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 禁煙支援 / 看護師 / 行動変容 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,看護職の禁煙支援の現状を明らかにし,効果的なサポートツールを開発することである。本年度は,これまで行った看護師対象の禁煙支援セミナーの効果評価から,効果的な禁煙支援ツールとしてセミナーのあり方を考察した。加えて,実施したセミナーの内容を参考に,サポートツールとして,禁煙支援のホームページの作成を行った。 日本の禁煙支援に携わる看護師289名に禁煙支援セミナーを行った。その前,後,3カ月後の禁煙支援の実施状況および認知面について現状とその要因に分けて分析した。 対象者の年齢は50歳以上が179名62.1%であった。学歴は専門学校卒が最も多く206名71.3%であった。看護師経験年数は平均21年であった。禁煙支援の5Aの実施率は,セミナー実施前と3カ月後では,AssessとAssistで実施率が上昇した(必ず行う,だいたい行うと回答した者の割合;Assess:セミナー前35.8%,3カ月後47.8%(p<0.001), Assist:セミナー前19.4%, 3カ月後27.0%(p<0.001)。)また禁煙支援の自信は,統計学的有意にセミナー後に上昇し,3カ月後もセミナー前に比べて有意な上昇がみられた。Assess, Assistの実施を従属変数とし,交絡因子を調整した上でロジスティック回帰分析を行った。セミナー後に禁煙支援の価値が高まったと回答した者は禁煙支援の実施率が高かった(Assess: OR:3.05, 95%CI: 1.17-7.96, Assist: OR: 3.54 95% CI: 1.18-10.59)。この結果から,禁煙支援のセミナーは認知面にも行動面にも効果があり,その効果は3カ月後も継続したことが明らかになった。禁煙支援の実施率向上には,禁煙支援の価値を伝えることが重要と示唆された。これらを踏まえて,禁煙支援に役立つホームページの作成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来は,禁煙支援の模擬患者を使ったセミナーを行い,その動画をホームページでアップしたいと考えた。しかし,新型コロナウィルスの流行拡大に伴い,セミナー自体の実施が難しく,既存のセミナーのアンケート結果で考察をすることになった。新型コロナウィルスの流行を考慮し,全体的な方向性を修正する必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究成果から,禁煙支援のセミナーの評価から,禁煙支援の価値を高めるような教育プログラムが重要であることが示唆された。現在の新型コロナウィルスの流行拡大の状況から,現地で行うセミナーの実施は今後も不可能と考えられ,模擬患者を用いたwebでの実践的な教育プログラムを実践することが必要と考えた。その際に禁煙支援の価値を高めるような内容を盛り込む必要がある。また,今年度はこれまでのデータを用いて,研究成果を論文化し,投稿するも目標としていく。
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Causes of Carryover |
今年度は国際学会への出張ができなかったことから繰越金が発生した。しかし,英文構成費やオープンアクセス料が予定より多かったため,大幅な繰越にはならなかった。
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