2022 Fiscal Year Research-status Report
急性冠症候群発症時における早期受診を目的とした患者教育プログラムの構築
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19K19590
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Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
大串 晃弘 四国大学, 看護学部, 講師 (80788878)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 急性冠症候群 / 患者教育 / 救急医療 / 早期受診 / 受療行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、前年度と同様に急性心筋梗塞(AMI)患者が発症から受診までの行動や心理的変化を解明するためのインタビュー調査を実施した。インタビューデータを蓄積した結果、内容が飽和してきたため、2022年度で調査を終了し、現在は分析を進めている。また、2022年度は大規模なAMI患者のデータを用いて、国内におけるAMI発症から受診までの時間が遅れる要因を明らかにした。また、現時点での分析結果と先行研究を基にした患者教育プログラムの構築を行った。一方で、既存のデータセットでは、AMI患者が受診するまでの実態を十分解明することが困難であると判断し、必要な項目を追加した上で、医療機関の診療記録を用いたデータセットを作成し分析を進めている。ACS患者が受診するまでの実態をより明確にするためには、関連性のある要因を含んだデータセットの作成することが必要と考えている。そのため、インタビュー調査の分析と並行して文献検討を行い、今後必要となるアンケート項目の取捨選択を行った。 2022年度には日本救急看護学会学術集会で、「喫煙者が急性冠症候群を発症した場合の医療機関受診プロセス」をテーマに発表した。さらに、日本循環器看護学会では、シンポジストとして「糖尿病患者における急性冠症候群発症時の早期受診を目的とする患者教育プログラムの検討」というテーマで発表を行い、参加者と意見交換を行った。また、「狭心症を持つ患者が急性心筋梗塞発症時に医療機関を受診するまでのプロセス」という研究発表では、優秀演題賞を受賞した。AMI発症時の早期受診を促す患者教育プログラムについては、概要を作成し、専門誌にも掲載した。現時点では国内のエビデンスが不十分であるため、国内での研究を進めてからブラッシュアップしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響でインタビュー調査の開始時期が遅れた。また、研究対象施設である医療機関の研究協力者への負担も考慮して研究を進めている。さらに、研究協力者の異動もあり、当初の計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
既存のデータではAMI患者の発症から受診までの実態を明らかにすることが困難であると考えられる。そのため、まずは現在行っている医療機関の診療記録を基にしたデータセットの分析を進めていく。国内におけるAMI患者の受診までの実態を明らかにするためには、診療記録で得られる情報だけではなく、患者自身の行動や心理的変化を定量的に分析することができるデータ収集が必要であり、AMI患者へのアンケート調査を検討している。診療記録を用いた研究の結果は、今後予定しているアンケート調査を行う上での基礎資料になると考えているため、早急に分析を進めていく方針である。また、2022年度で終了したインタビュー調査の分析は、アンケートの項目を検討するうえで重要である。そのため、インタビュー調査の質的な分析も並行して進めていく。将来的には、様々な地域や医療機関での調査が必要になると考えている。そのため、現時点から研究協力施設や医療機関内の研究協力者の調整も行っていき、研究を長期的に継続できるように準備を行っていく予定である。患者教育プログラムの概要は作成できているが、ブラッシュアップしていくことも必要である。研究を進めてエビデンスを蓄積していくことと並行して、教育系の専門家とも意見交換を積極的に行っていく。 本研究ではACS発症時の早期受診を促す患者教育プログラムの構築を目指している。研究結果を基にしたプログラムを構築しても、ハイリスク患者や受診が遅れる患者自身に伝わらなければ十分な結果を得ることが困難であるため、プログラムの内容を患者自身が深く理解することも重要であると考えている。そのため、患者教育を実施する段階を想定し、近年着目されているVR技術の患者教育への応用も検討していく。
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Causes of Carryover |
研究計画が新型コロナウイルスの影響で当初の計画より遅れてはいるが、今年度で概ね必要な研究費を執行することができている。研究計画を延長しているため、次年度使用額は2023年度の学術集会などで積極的に公表していくための費用として使用していく。
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Research Products
(5 results)