2020 Fiscal Year Research-status Report
小児がん患児と家族を対象とした抗がん剤(CPM)曝露の実態調査
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19K19594
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Research Institution | Fukuoka Nursing College |
Principal Investigator |
野田 優子 福岡看護大学, 看護学部, 助手 (60824513)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 抗がん剤曝露 / 小児がん患児家族 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗がん剤曝露は薬剤そのものばかりでなく、患者の代謝産物からも排泄されるため、その取扱いに留意する必要がある。しかしながら、小児がん患者の体液や排泄物を介したか付き添い家族へ曝露については実態が明らかにはなっていない。本調査は、小児がん患児と付き添い家族への抗がん剤曝露の実態を明らかにし、家族への曝露軽減のためのガイドライン策定を目的に実施した。調査は、研究協力施設において2020年1月から6月まで実施した。対象は、大量シクロホスファミド投与を受ける患児と付き添い家族11名で、同じ患児と家族につき2回の調査を実施した。その結果、54.5%(5名/11名)の家族の尿中よりシクロホスファミドが検出された。さらに、家族が患児への排泄および口腔ケアの際に装着した個人防護具からもシクロホスファミドが検出された。患児に関しては、全ての調査日においてガーゼ肌着から高濃度のシクロホスファミドが検出された。また、家族と患児の関わりの状況から曝露要因を検討するために、6場面(排泄ケア、清潔ケア、口腔ケア、食事ケア、添い寝、抱っこ/遊び/タッチング)を設定し、ケア時間とPPE装着状況を固定効果、対象者毎に変動する効果を変量効果とする一般化線形混合効果モデルにて分析した。その結果、患児との物理的・精神的距離が近くなる抱っこ/遊び/タッチングなどの情緒的ケアにおいて、個人防護具の装着が不十分な状況でかつケア時間が長くなるほど、曝露に影響している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は、仮説検証型研究にて、家族が患児へ日常生活援助を行う際に、個人防護具を装着することで曝露軽減を図ることができるか調査する予定であったが、COVID-19流行の影響により、家族が常にマスクを装着している状況となり個人防護具の統制が図れなかったため、家族への曝露要因を検討する探索的研究に変更した。その他に関しては、本年度は予定通りに調査を遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の結果は、海外のジャーナルへの投稿および2022年に国際学会にて発表予定である。
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