2020 Fiscal Year Research-status Report
慢性疾患患者が「なんとかやりくりする能力」を獲得するためのワークショップの構築
Project/Area Number |
19K19601
|
Research Institution | Yamagata Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
山田 香 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 講師 (90582958)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | なんとかやりくりする能力 / 場づくり / ワークショップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、M,Huberらの提唱する新たな健康概念「なんとかやりくりする能力」を慢性疾患患者の獲得可能な能力と位置づけ、その獲得の足場として、ワークショップ形式による「気づき」「学び」を提供する場づくりを行うものである。 そのため、研究計画2年度である2020年度(2021年3月)、山形県天童市内を中心に、地域住民、高齢者、小学生等を対象に、計5回の身体系ワークショップ「からだで気づく!ワークショップ」を実施し、参加者へのアンケート調査、映像によるワークショップの記録を行った。さらに、その企画・運営に携わったワークショップ講師、社会福祉法人の職員らにインタビュー調査を実施した。 その結果、ワークショップ参加者へのアンケートでは、9割以上が「いつもよりからだが動いた」「声が出た」「手をたたいたり、笑ったりした」「自分は元気だと感じた」と回答し、本ワークショップを通じて、身体を動かしながら心身の健康を自覚できたたことが示された。また、運営側のインタビューからは、本ワークショップの実践は、参加者の反応から、心身の健康に寄与する新たな手法として期待できるとの言及があり、今後の継続的な実践についても希望が語られた。さらに、当該地域では、地域高齢者を取り巻く背景として、高齢化および少子化が一段と進行しており、独居老人の増加や高齢者の外出困難が深刻になっていること、加えてコロナ禍では「高齢者カフェ」や「コミュニティカフェ」の開催がなくなり、ご近所同士の「お茶のみ」びかえの傾向がみられていることが語られた。 このような結果から、今回、社会実践としての本ワークショップを高齢化率4割に迫る地域で実施したことは、地域コミュニティの持続的発展や人生100年時代を見据えた住民の健康維持という課題解決に向けての一つの成果を得ることができたと考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度(2019年度)計画していた山形県内の保健医療福祉施設での身体系ワークショップが新型コロナウィルス流行の影響により延期となっていたが、今年度、対象や実施施設を再検討し、5か所でワークショップを実践することができた。また、あわせて参加者へのアンケート、運営した施設職員らのインタビュー調査を終了している。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、最終年度の2021年度には、ワークショップの実施・評価・修正を予定している。これらの計画を確実に実施していく。具体的には、2020年度の調査結果とあわせて、ワークショップの記録映像を分析し、ワークショッププログラムの精緻化を図るとともに、山形県内でのワークショップの継続的な実施に向けた関連機関との協力体制の構築を行う。 そのために、研究協力者およびワークショップ運営関係者らとの定期的な検討会を継続していく。 なお、2020年度の調査結果を学会等で発表する予定である。
|
Causes of Carryover |
当初予定よりワークショップ回数が減少したことにより、必要物品の一部が購入不要となったため、次年度使用額が生じてしまった。 次年度使用額は、2021年度のワークショップの実施時に物品購入に使用予定である。
|