2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K19612
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
三邉 武彦 昭和大学, 医学部, 准教授 (00622135)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 簡易懸濁法 / 薬物動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
簡易懸濁法は、一般病院のみならず、在宅医療の現場でも広く行われているが、個別の薬剤に関する薬物血中濃度に関するデータが不足している。薬物投与は、患者の状態により錠剤の飲みこみが困難な場合には、錠剤を粉砕したり、簡易懸濁法による投与を行ったりしている。今回はベラパミルの投与経路を錠剤、粉砕、簡易懸濁法と3つのパターンで行い投与の際の薬物血中濃度を比較した研究である。当初の予定よりも臨床研究の実施がコロナ禍で大幅に遅れてしまったが、特定臨床研究として、学校法人昭和大学臨床研究審査委員会での承認を受け、試験を実施した。試験参加を希望する被験者にスクリーニング検査をおこない、6名の被験者を選定した。ベラパミルの錠剤、粉砕、簡易懸濁法の3パターンを一定期間あけて投与をおこない、決められた時間で採血を行った。被験者に有害事象はなく、臨床研究は終了し、すべての採血ポイントで血液サンプルは得た。簡易懸濁法群、粉砕法群では錠剤服用群と比較しAUC0-24、Cmaxが増大しており、特に粉砕法では有意に高くなった。投与前に医薬品を加工することによって、溶解速度と放出速度が変化したことに起因すると考えられる。粉砕法や簡易懸濁法は摂食嚥下困難を有する患者や経管栄養中の患者にとって、内服を容易かつ安全に行う方法であるが、製薬企業が提供する医薬品を加工することにより、意図しない副作用の発現やその増大が認められる可能性があり、投与前の医薬品の加工は避けるべきである。
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