2019 Fiscal Year Research-status Report
心筋症を病む人の看取りを経験した家族の語りに基づく意思決定の解明とその看護
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19K19625
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
青野 美里 摂南大学, 看護学部, 助教 (90793745)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 心筋症 / 意思決定 / エンドオブライフケア / ライフストーリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、心筋症を病む人が最期までその人らしく人生を全うするための意思決定支援のあり方について検討するために、心筋症を病む人とその家族がどのような場面で意思決定を求められ、判断をし、その際にどのような援助が必要であったかを明らかにすることである。本研究では、これまでの先行研究に見られるような、人々の意思決定を心不全増悪時や治療選択といった治療をベースとしたステージで区分するような捉え方ではなく、発症してから現在までのそれぞれに複雑かつ多様な生を営む、というその人に根差したありふれた日常の経験からホリスティックに捉えなおすことを基調としている。そのため、本研究は、心筋症を病む当事者の視点から見たエンドオブライフケア構築の基盤となることが期待できるとともに、「心不全患者」と一括りにされてきた心筋症を病む人とその家族が生き抜くことに寄与するものと考える。 本年度は、まず、研究実施に向け先行研究のレビューを行った。国内外ともに心筋症に焦点を当てた看護の研究は多くなく、特に意思決定にあたっては、心不全患者の急性期や終末期における意思決定についての研究は散見されるものの、心筋症に焦点を当てたものは2件に限られた。また、特に先進国を中心とした欧米においては、心臓移植件数が日本よりもはるかに多いという特徴から、長期化する療養生活の中で予後の見通しが立たない心筋症を病む人の意思決定への問題意識が日本に比べ高くないものと考えられる。しかしながら、我が国における心臓移植は未だ一般的とは言い難く、心筋症を病む人の日常から意思決定を捉えなおすことの意義がレビューによってより強固になったと言える。 また、本研究の研究疑問を明らかにするために求められる方法論として、ライフストーリーや理論的背景の検討を行った。加えて、研究の打ち合わせや関係部署との調整を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究者の出産育児にともない、研究活動を一時休止したため、倫理審査を受ける以前の段階であり、研究の開始が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
速やかに倫理審査を受け、調整を行ってきた関連部署においてインタビューを実施し、内容について分析を行う。その後ケアのあり方について検討する。 分析にあたっては、現在研究者が在籍する博士後期課程の指導教員のスーパーバイズを受けながら、研究会での検討を重ねることで、記述をより厚みある洗練されたものとしたい。 研究計画当初は、参加者を看取りを経験した家族にしていたが、研究会での検討の結果、本研究の目的とするところはその当事者性にあるため、心筋症を病む人自身を参加者とし、発症してから現在の生活についての豊富な語りから、その人の日常に埋もれている意思決定について解明することに変更した。
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Causes of Carryover |
研究者の出産育児に伴い研究が一時休止され、当初の予定から研究が遅れたために次年度使用額が生じた。 次年度は、研究参加者へのインタビューを行うための交通費、謝金に加え、データトランスクリプト代が必須である。また、関連学会の学術集会参加・発表や研究会参加に係る旅費や参加費、さらには関連する図書資料の購入費として使用する計画である。
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