2021 Fiscal Year Research-status Report
解離状態を引き起こす感情と感情制御:日常場面での動態把握と生起過程の解明に向けて
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19K19628
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Research Institution | Seisen University |
Principal Investigator |
池田 龍也 聖泉大学, 人間学部, 講師 (20784523)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 解離状態 / 解離性体験 / 日常場面 / 人間関係 / 経験サンプリング法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,解離状態がどのような感情および感情制御によって生じるのかを,より日常生活を反映させて実証的に解明することを目的としている。そのために,まずは解離と関連する感情および感情制御方略の候補を挙げ,オンライン調査によって候補を少数に絞り込む。次いで予備調査として解離状態と各感情および感情制御方略の関連度を経験サンプリング法によって調査し,本調査で採用すべきモデルを検討する。同時に,本調査に必要なサンプルサイズをシミュレーションによって明らかにし,本調査に移行する。最終的には上述のように,日常場面における解離状態がどのような感情および感情制御方略によって生じるのかを解明することとした。 令和3年度は測定項目を精査し,予備調査の実施に向けて研究代表者の所属機関にて倫理審査を受審した。その結果,条件付き承認であった。現在は調査を依頼する調査会社を選定しているところである。そのほか,研究成果を国内学会で2回発表できた。令和2年度に得られた知見をとりまとめ,国際誌への投稿論文をとりまとめているところである。さらに令和3年度以降に実施予定の統計解析法について,シミュレーション研究を実施し,その結果を論文にとりまとめた。しかし所属機関における新型コロナウィルス感染症予防および教育機会の確保に時間を要し,当初計画していた経験サンプリングに必要なサンプルサイズを明らかにすることは十分に遂行できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画書の中で令和3年度には経験サンプリングを終了している計画であった。しかし「研究実績の概要」でも述べたように,所属機関における教育環境の保持および安全の確保に時間を費やされた関係上,エフォートのコントロールが困難であった。また同年度に研究代表者が別の機関へ移動したため,倫理審査をはじめとした制度面や研究遂行の面で難渋した。その後,倫理審査にて条件付き承認を得たものの,横断調査を実施できなかったため,「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は調査設計を進め,横断調査および経験的サンプリング法のパイロットスタディを実施したい。8月までに横断調査を実施して経験的サンプリング法に用いる心理尺度を確定させ,8月以降に経験的サンプリング法による縦断調査を実施する予定である。 当面の課題としては,パイロットスタディを実施する時期が挙げられる。一般化可能な知見を得るには幅広い年代を対象とすべきであるものの,労働の形態によっては1日に複数回の調査に応じられない可能性がある。そのため青年期の者を対象として,夏休み期間に焦点をあてて調査する予定である。また計画当初に使用予定であったアプリケーションの更新および修繕が停止しており,別のアプリケーションないしはサービスを検討する必要がある。
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Causes of Carryover |
「研究実績の概要」で触れた通り,新型コロナウィルス感染症に端を発する様々な不測の事態によって,当初計画していた調査の実施に至らなかった。そのため調査費用の一部および研究成果の発表に係る旅費を使用しなかった。令和4年度には調査を実施予定であり,論文の投稿予定もあるため予算執行の見込みがある。
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