2019 Fiscal Year Research-status Report
客観的評価を可能とする、授乳に伴う乳頭損傷評価ツールの開発
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19K19634
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 真弥 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (50824710)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 乳頭損傷 / 授乳 / 母乳育児 / 評価ツール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、乳頭損傷を客観的に評価することができるツールを開発することである。その第一歩として、2019年度は、一時点の乳頭損傷を共通認識で評価できるツールの開発にむけて研究を開始した。2019年度は、母乳育児の専門家5名に対するインタビュー調査を行い、その結果をもとに作成した質問紙を用いた郵送調査に着手した。 インタビュー調査では、機縁法で選定した助産師、母乳育児外来を有する小児科医師、美容形成外科医師、皮膚科医師、乳腺外科の看護師の計5名(経験年数:28.5±13.2年)を対象に、症例画像を提示しながら面接し、観察される所見の特徴について語ってもらった。分析は、逐語録を作成し、研究者2名による注目すべき表現の切り出しを行った。その結果、【発赤】は「皮膚が薄くなる、もしくは、皮膚や痂疲が剥離した後に発生し、毛細血管の拡張で赤色に見える。糜爛とも表現される。」【腫脹】は「乳頭の一部または全体が浮腫状に隆起した状態である。桑の実や亀の甲羅のようにぽこぽこと、みずみずしく見える。」など乳頭組織に特有な各所見の特徴が明らかとなった。これらは比喩表現等を用い、観察事象がありのままに表現され、評価者間の共通認識を助ける表現であると考えられた。 郵送調査では、インタビュー調査の結果をもとに作成した質問紙を用い、デルファイ法にて乳頭組織の7所見の定義を決定する計画である。3段階の郵送調査を予定しており、2019年度は第2段階まで実施した。今後、分析結果をふまえ、第3段階を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019度はインタビュー調査と3段階の郵送調査を計画していたが、郵送調査に向けた準備に時間を要し、3段階のうちの2段階までしか到達できなかった。そのため、「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、郵送調査を完結し、乳頭組織の7所見の定義を決定する。さらに、臨床で活用できる観察ツールの開発を目指す。
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Causes of Carryover |
理由:新型コロナウィルスの感染が拡大した影響で、当初予定していた学会発表が延期や中止となった。また、郵送調査を年度内に完遂できなかった。
使用計画:次年度に、郵送調査の続きと延期となった国際学会での発表に使用する。
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