2020 Fiscal Year Research-status Report
客観的評価を可能とする、授乳に伴う乳頭損傷評価ツールの開発
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19K19634
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 真弥 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (50824710)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 乳頭損傷 / 母乳育児 / 授乳 / 評価ツール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、乳頭損傷を客観的に評価することができるツールを開発することである。2019年度は、一時点の乳頭損傷を共通認識で評価できるツールの開発にむけて研究を開始した。具体的には、母乳育児の専門家5名に対するインタビュー調査と、その結果をもとに作成した質問紙を用いた3段階の郵送調査のうち、第2段階までを実施した。郵送調査では、同意について5件法にて回答を求めた。 2020年度は、第2段階までの分析結果をふまえ、第3段階の郵送調査を完遂した。郵送調査は助産所に勤務するアドバンス助産師を対象とし、第3段階の対象者49名のうち42名(回収率83.6%)から返答を得た。デルファイ法にて発赤8項目、腫脹10項目、痂疲9項目、水疱7項目、離開7項目、紫斑4項目、皮膚剥離3項目のコンセンサスを得た。これらの項目は、創部の状態に関する項目と発生機序やアセスメントに関する項目に分類された。これらの説明と代表症例の画像と統合し、各所見の説明資料である「授乳に伴う乳頭組織の7所見」を提示した。さらに2020年度はこのツールの英語翻訳を行った。当初の計画のようにWild et al.,2005 の尺度翻訳の手続きを用いた英語版ツールの開発には至っていないが、順翻訳と医学系論文翻訳業者による逆翻訳を行った。また、紫斑の説明項目である「強い吸引圧が加わって生じた」の発生機序を解明するため、吸引圧を変更できる電動搾乳器を用いた乳頭組織の変化について、観察調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は①観察ツール日本語版の開発、②英語版のツールの開発の2点を計画していたが、当初の計画を変更して①の成果を英語論文として投稿することを優先したため、②の正規の手順が実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、「授乳に伴う乳頭組織の7所見」を用いた前向き観察研究を行うことで、乳頭組織の経時的変化について検証する。
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Causes of Carryover |
理由:新型コロナウィルス感染拡大の影響で、当初予定していた学会発表が延期や中止となった。また、産前産後休暇を取得したため、当初の計画通りに研究を遂行できなかった。よって、次年度使用額が生じた。 使用計画:延期となった国際学会で使用する予定である。
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