2022 Fiscal Year Annual Research Report
客観的評価を可能とする、授乳に伴う乳頭損傷評価ツールの開発
Project/Area Number |
19K19634
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 真弥 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (50824710)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 授乳 / 乳頭損傷 / 客観的評価 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、授乳に伴う乳頭損傷について、客観的な評価を可能とするためのツールを開発することである。2019年度から2020年度においては、デルファイ法にて各所見の定義を検討し、観察ツールである「授乳に伴う乳頭組織の7所見」を提案した。2021年度には、「授乳に伴う乳頭組織の7所見」を英語版に翻訳するとともに、論文や学会発表において国内外で公表した(Nakamura M, et al. 2022)。 最終年度である2022年度においては、より客観的な評価法の確立を目指し、乳頭損傷評価に画像解析技術を導入することの実現可能性を検討した。具体的には、「授乳に伴う乳頭組織の7所見」の分類をもとに、Lobe Version0.10.1130.5(Microsoft)を用いて画像分類のAIモデルを作成した。モデルに表示された画像分類の精度は合計86%であった。さらに、このAIモデルに20枚の乳頭損傷画像の所見判定を行わせ、臨床助産師8名の判定結果と比較した。機械学習モデルの判定と助産師の判定が一致したのは10枚(50.0%)であり、一致した所見の内訳は【傷なし】と【発赤】が3枚、【腫脹】が2枚、【痂疲】と【水疱】が1枚であった。これらの結果より、助産師の診断をサポートするための性能としては十分ではないものの、AIの簡便な画像分類技術を用いて一定程度助産師と同様の所見判定が可能であることが示された。このことは、今後DX化が進む現代社会において、客観的評価法を開発する一助となるといえる。
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