2019 Fiscal Year Research-status Report
子どもの医療被ばくに関する親の認識への影響要因を可視化する試み
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19K19635
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
扇野 綾子 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (70400140)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 看護学 / 子ども / 放射線 |
Outline of Annual Research Achievements |
子をもつ親の医療被ばくに関する経験や認識を探るための試みとして、子育てサークルに親子で参加している母親に質問紙を用いて情報収集を行った。調査日は2019年7月であり、回答者は6名であった。年代の内訳は30代が5名、40代が1名、性別は全員女性であった。 属性の概要として、育てている子どもの人数は2~7名(平均3.3名)であり、子どもの年齢は0歳から13歳(平均4.2歳)であった。子どもの放射線検査の経験としてあったものは、レントゲン写真が4名、造影検査が1名であった。レントゲン写真の部位は、胸部、歯、鼻、腕が各1名、造影検査の部位は心臓であった。放射線検査を受ける際に心配なことが「ある」と答えた親は4名、「なし」と答えたのは2名であった。心配の内容として、「子どもが怖がったりしないか」が3名、「検査・撮影の時にじっとしていられるか」が1名、「放射線の影響があるのではないか」が1名であった。 調査対象者が少ないため一般化はできないが、子どもが放射線検査を受ける機会は、小児科、整形外科、耳鼻科、歯科等多岐の診療科にわたることが示された。最も被ばく量が多いと考えられる造影検査を受けたケースでは、心配なことは「なし」という回答であった。通常小児の心臓カテーテル検査に際しては、両親そろって検査方法や合併症について、十分に時間をかけた説明を行い、同意書を交わしている。そのため、不安なことは医師に確認する機会や時間が確保されている状況があると考えられる。一方、不安内容で「放射線の影響」を挙げたケースでは、胸部と歯のレントゲンを経験していた。歯科領域などではその検査の必要性を親が理解しにくい場合も考えられる。必要性の認識が低い場合に、不安が生じる可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は放射線検査を受ける子どもの親が、医療被ばくに関してどのような認識を持っているのか、試験的に情報を集めることが目標であったため、概ね順調と考える。初年度の研究活動により、子どもが放射線検査を必要とする状況には多様性があることが明らかとなった。しかし調査対象者が少なく、十分であるとは言えない。今後の調査方法について検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
子どもに対する放射線検査は、様々な診療科にまたがって行われていることが分かった。そして検査を受ける状況により、放射線に関する認識が異なっていることが考えられる。よって、本調査は一つの医療機関・診療科で行うのではなく、広く対象を捉えて、例えば保育所や学校を通した調査なども検討していく必要がある。 また、2020年現在の新型コロナウイルス感染症の拡大状況から、医療機関や施設での調査が困難な状況も考えられる。インターネットを通じた調査など、調査方法も検討していく。
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Causes of Carryover |
予定していた旅費の一部について、参加予定であった学会・研究会が新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い中止になったり、web上のものを選択するなどしたため、使用ができなかった分が生じた。次年度の旅費に充てる予定であるが、再び同様の状況のため参加できなかった場合は、インターネット環境・通信に関わることに使用することを検討する。
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