2022 Fiscal Year Research-status Report
妊婦の妊娠後期の睡眠と精神健康状態が乳児の睡眠発達と泣きに及ぼす影響
Project/Area Number |
19K19636
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
熊谷 真愉子 (小西真愉子) 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (20816251)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 母親の睡眠 / 母親のメンタルヘルス / 乳児の睡眠 / STN / 乳児の泣き |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、(1)妊娠後期の妊婦の睡眠状態や精神健康状態と、乳児(受胎後48~50週、52~54週、56~57週)の睡眠状態や泣きとの関係を明らかにすることである。正常妊娠経過であり、妊娠28週以降の単胎の初産婦とその出生児を対象とし、60例に調査を行い、令和2年度にデータ収集を終了した。令和3年5月~令和4年6月まで、産前産後の休暇及び育児休業の取得に伴い研究を中断していた。 研究再開後は、52組の初産の母親とその乳児を分析対象とし、生後早期の乳児の睡眠発達として夜間に長時間持続的に睡眠をとるようになること(sleeping through the night、(以下STN)の獲得)と産前産後の母親の精神健康状態との関係を検討した。その結果、生後4か月でSTNを獲得した乳児(STN児)は14名(27%)であり、生後2~3か月で夜間の最長睡眠時間は有意に増加し、覚醒回数は有意に減少した(p<0.01)。STN児の母親のGHQ得点は産後3か月間で有意に減少し、妊娠後期では非STN児の母親よりも有意に低値であった(p=0.027)。また、ランダムフォレスト分析の結果、妊娠後期及び産後4か月時の「GHQ得点」はSTN児の重要な説明変数として抽出された。その他に抽出された「分娩週数」「出生時体重」「複合家族」「就寝時の添い寝」のうち、「就寝時の添い寝」のみ、「STN児」(r=-0.440)と妊娠後期及び産後4か月時の「GHQ得点」(r=0.377、r=0.473)と比較的強い相関があった。産前産後の母親の精神健康度は乳児のSTN獲得と関連することが明らかとなった。産前の母親の精神健康度を良好に保つことは、生まれた乳児のSTNの早期獲得に貢献する可能性が示唆された。 上記成果について、一部を学会発表(第35回秋田県母性衛生学会学術集会)した。論文投稿し、現在査読を受けている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の実施計画では対象80例を予定していたが、時間的・物理的制約から実施可能な人数として60例に調査を行い、令和2年度にデータ収集を終了した。データ収集に関しては、おおむね順調に進行した。 令和3年度は、妊娠後期の母親の睡眠と乳児の睡眠発達との関係を検証した結果についてを、学会発表した。(熊谷真愉子、母親の妊娠後期の睡眠状態と乳児の睡眠発達との関係、第62回日本母性衛生学会総会・学術集会)。 令和3年5月~令和4年6月まで、産前産後の休暇及び育児休業の取得に伴い研究を中断していた。 研究再開後、データを再分析し、産前産後の母親の精神健康度は乳児のSTN獲得と関連することが明らかとなった。産前の母親の精神健康度を良好に保つことは、生まれた乳児のSTNの早期獲得に貢献する可能性が示唆され、学会発表(第35回秋田県母性衛生学会学術集会)し、論文投稿した。令和4年度中のアクセプトを目指していたが、まだ査読を受けている段階である。産前産後休暇、育児休業の取得、論文投稿過程の遅れから、当初の計画よりも進捗が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、査読結果を受け論文を修正している。英文校正を行い、再審査を受け、今年度中に論文のアクセプトを目指す。また、研究成果について、日本母性衛生学会で発表を計画している。
|
Causes of Carryover |
現在投稿中の論文について査読受審にあたり、再分析、英文校正に費用を要する。学会発表にあたり、学会旅費等が必要である。
|
Research Products
(1 results)