2022 Fiscal Year Research-status Report
高年女性に対するART終結後のQOL向上に向けた看護支援モデルの構築
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19K19641
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
嶋 雅代 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (50633385)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生殖補助医療 / 不妊症-女性 / 女性の健康 / 生活の質 / 女性ホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、生殖補助医療(Assisted Reproductive Technology:以下ART)受療者の40%以上を占める40歳以上の高年女性における治療終結後の更年期様症状の特徴を明らかにし、ART終結後のQOL向上に向けた看護支援モデルを構築することである。 ART受療中の40歳以上の女性105名の同意を得て、質問紙調査(基本的情報、簡略更年期指数(SMI)、不妊に関するQOL(FertiQoL)、CES-Dうつ病自己評価尺度)および女性ホルモン(FSHおよびE2)測定値をもとに分析を進めた。本研究対象者の8.6%が更年期障害の治療開始の目安となるSMI51点以上となり、更年期様症状が顕著な中で不妊治療を進めている現状が明らかとなった。また、27.6%はCES-Dによるうつ病カットオフ値である16点以上を示し、ART受療によるメンタルヘルスへの影響も示唆された。さらに、生殖に問題をもつ男女のQOLを測定するための尺度であるFertiQoLおよびSMI、CES-Dは相関関係にあり、生殖に問題がある女性にとってのQOLは心身の健康状態が強く関連していることも示唆された。ART受療と心身の健康状態との関連が見られる一方で、インタビュー調査によるART受療中の当事者の語りからは、ART受療による心身の不調や変化は個人差が非常に大きく、臨床での判断が困難であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍において研究開始までの調整が遅れたこと、特にインタビューによる調査が困難となったこと、当初の見込みよりも研究対象者が集まらないことなどから計画に遅れが生じてしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在研究協力施設は4施設であるが、研究協力施設を追加できるよう調整を行っていることから、インタビュー協力者のリクルートも進める予定である。しかし、現時点で収集できているインタビューデータについて分析し、理論的飽和を検討することにより、さらなるデータ収集が必要かどうかについても吟味する。質問紙調査については多変量解析を進め、2023年度中に終了する予定である。
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Causes of Carryover |
研究の遅れにより、研究参加者への謝礼品の支払いも遅れたため、次年度使用が生じた。また、研究結果について論文をまとめて発表する予定であったため、英文翻訳や論文投稿料、学会参加費も未使用である。令和5年度は当初の予算を使用して調査を進める予定である。
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