2020 Fiscal Year Research-status Report
遠隔支援可能な新生児蘇生シミュレーション教育支ツールの開発と有効性検証
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19K19642
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
花岡 信太朗 京都大学, 医学研究科, 医員 (90813402)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 遠隔教育 / 新生児蘇生 / ICT / 周産期 / 医療システム / 人材育成 / 医療安全 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は遠隔で実施する新生児蘇生訓練の効果検証を主たる目的とする。地域の中核病院とクリニックの双方向通信により、施設内スタッフの新生児蘇生技術向上及び維持を図ることのできる遠隔教育システムを低コストで開発しており、その有効性の証明した。 コロナウイルス感染拡大に伴い、チーム蘇生訓練を中断せざるを得ず、限られたデータでの検証となったが、チームのパフォーマンススコア(シナリオトレーニング)では、遠隔講習ではない対面講習と比較して有意差はなかった。今後データの蓄積により学習効果の検証がさらに必要であるが、コロナウイルスのような感染症拡大下においても、集合することなく集合研修をサポートするシステムの構築が技術的に可能となった。なお、機器の配置や利用するツールの事前設置には習熟する必要があり、学習環境の整備の面ではコスト・技術の面で普及に課題が残る。学習者へのインタビュー解析では、利点として『自施設の環境で児施設のメンバーとともに学習できること』『蘇生講習に習熟した講師が遠隔から学習サポートするため、深い学びが実現できた』ことが挙げられた。研究開始当初はプライバシーの観点での懸念があったが、動画ファイルや質問紙を含む個人情報の管理に特に問題はなかった。 このシステム運用により、施設立地に関係なく施設毎の効率的な新生児蘇生技術向上・維持が期待できる。さらに本システムを臨床応用可能で遠隔地への支援など地域医療に貢献する社会基盤に発展することが見込まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナウイルス感染拡大のため、申請者所属施設ならびに研究協力施設での集合研修が不可能となってしまい、チームで推進する蘇生訓練のための遠隔講習が不可能となった。したがって、前年度実施した蘇生訓練時のデータ集計と機器の改修を主に進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を通じて、ICTを利用した安価で汎用性のあるシミュレーショントレーニング用ツ ール開発と運用を進めた。既に人工呼吸と胸骨圧迫の手技モニタリング機器は講習や 遠隔蘇生講習研究で運用し、申請者はこれをデジタルデータ化することでモニター表 示およびデータベースへの統合を実装できた。今後はコロナウイルス感染拡大下でも、集合研修することなく個人での学習を推進する訓練機器とeラーニングシステムを構築し、本研究を補完するものとして運用検証することにしている。なお、今後導入する訓練装置はフィードバック装置として、国際ガイドラインで推奨する訓練装置にも準拠するため、新生児領域における先進的な取り組みとして本研究の学習支援システムを計画している。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染拡大下で、2020年度研究に遅延が生じた。具体的にはデータ採取のための遠隔講習自体の開催が不可能であったため、質問紙および動画解析、質的研究用インタビューなどのサンプルが当初の計画に達していないため、次年度でのデータ取得のため繰り越しとした。
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Research Products
(4 results)