2022 Fiscal Year Research-status Report
早産児の母親の産後の切れ目ない支援体制構築に関する研究
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19K19666
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
深澤 友子 群馬大学, 大学院保健学研究科, 助教 (80632843)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 周産期メンタルヘルス / 母親意識 / 早産児 / 地域完結型看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
早産児の出生率・生存率は増加しており、児に対する医療や支援体制の構築が進んでいる。しかし、早産児を出産した母親は産後早期は心理的に危機的状況にあることが多く、小さく産まれたわが子の健康や成長に対する不安は長期に及ぶことも指摘されている。早産に至る背景に母体合併症を有する場合も多くある。以上より、早産児の母親に対し、産後入院中だけでなく、退院後も含め継続的な身体的・心理的な支援は重要な課題である。しかし、早産児の母親に対する産後の切れ目ない支援体制はまだ十分とはいえない。 本研究では、【研究①】で早産児の母親の出産体験の内容を明らかにすることを目標とした。さらに【研究②】で、早産児の母親に関わる看護職が行っている看護者間連携の内容と課題について明らかにすることを目標とし研究計画書を作成、修正中である。 【研究①】【研究②】を通し、早産児の母親の身体的・心理的健康に向け、産後の切れ目ない支援体制への示唆を得たい。【研究①】では、2019年度から2021年度までに、産後早期の早産児の母親6名に出産体験にまつわる半構成的面接を行った。 2022年度は、新たに1名の母親に半構成的面接を行った。母親は経産婦(前児も早産)で、前々期破水のため、早産域で出産した。1名の母親の語りを時系列にまとめ内容を要約しタイトルをつけた。 母親から、早産でうまれた前児の健康面への不安は、生後数年の間、続いていたことが語られた。早く産まれることを「うちの子達はせっかち」と、夫がわが子の個性と捉え「自分達の子どもだから大丈夫」という夫からの言葉がけ等により、母親の不安感が軽減し、安心感につながっていたことが語られた。 退院後の母親の継続的な支援、また夫もケアの対象とすること、そして夫婦での早産児の出産についての共有の状況・夫婦の関係性など、家族全体をケアの対象として捉え、継続的に支援する必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
4年目(2022年度)は、1年目(2019年度)から継続して【研究①】として、早産児の母親の出産体験の内容について明らかにすることを目的とし、半構成的面接およびデータ分析を行った。新型コロナウィルス感染拡大の影響や学内業務多忙のため、分析に時間を要している状況である。 また、4年目(2022年度)は【研究②】として、早産児の母親の心身の健康にむけ産科およびNICU看護職が行っている看護実践の内容と、看護職間の連携(以下、看看連携)の実際と課題について、明らかにすることを目的に、産科およびNICU看護職への半構成的面接を行う研究計画書を作成した。 研究実施施設の看護部からは研究実施の許可を得ることができた。しかし大学の倫理審査委員会において、看護者から語られるかもしれない、早産児の母親の情報に関して、個人情報保護の観点での指摘を受けた。そのため、現在、研究テーマ、目的、および方法について研究計画書を修正している状況である。
本来であれば、2022年度(4年目)が本研究課題の最終年度であったが、1年延長することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
・5年目(2023年度)は 【研究①】2019年度~2022年度までに面接を行った早産児の母親7例の出産体験について、分析を進め、論文化する。
【研究②】NICUの看護職を対象に、早産児を出産し、児がNICUに入院となった母親の身体的・心理的健康にむけ、院内他部署および地域の看護職と行っている看護職間の連携の実際と課題について明らかにすることを目的とし、研究計画書の修正、およびデータ収集を進める予定である。研究分担者との協力や、人件費(アルバイト)と活用し、効率的に進めることを目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大の影響を含めた学内業務多忙により、当初の予定より研究を進めることができなかった。そのため、研究期間を1年延長し、2023年度を最終年度とした。
2023年度は、研究分担者への協力を得たり、人件費(アルバイト等)を有効活用し計画的に進める。
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