2019 Fiscal Year Research-status Report
モンゴル国妊婦の喫煙・受動喫煙が周産期アウトカムに与える影響
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19K19667
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
疋田 直子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任研究員 (60801925)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | モンゴル / 妊婦 / 受動喫煙 / 喫煙 / 周産期アウトカム |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠中の喫煙は、子宮外妊娠、前期破水、常位胎盤早期剥離、死産・流産・早産などのリスクを上げること、また、妊娠中の受動喫煙は、妊娠高血圧腎症、胎児先天性奇形、死産、出生時体重の減少などのリスクを上げることが報告されており、妊娠中の喫煙・受動喫煙は、母児の両方に悪い影響を与える。モンゴル国では、妊婦の約1割が喫煙をしている可能性があり、また、4割以上の妊婦が受動喫煙をしていることが報告されているが、妊娠中の喫煙・受動喫煙がどれぐらい妊娠経過や出産、または胎児の発育に影響を与えているかは明らかになっていない。 本研究は、モンゴル国ダルハンオール県の妊婦を対象に、妊娠中(初期・中期・後期)の喫煙・受動喫煙状況が、妊娠経過や児の出生時体重などの周産期アウトカムにどのような影響を与えているかを明らかにする研究である。妊娠中の喫煙・受動喫煙状況は、呼気中一酸化炭素濃度の測定と、尿中コチニンの測定を用いて評価をする。モンゴル国のような途上国でバイオマーカーを用いて妊娠中の喫煙・受動喫煙状況を評価し、さらに周産期アウトカムとの関連を調べた研究はないため、本研究の実施意義は大きいと考える。 本研究によって得られる結果は、モンゴル国ダルハンオール県保健局の担当部署に報告し、今後の喫煙・受動喫煙対策を考える上での基礎データとしてもらう予定である。また、ダルハンオール県内の医療者に対しても結果を報告し、妊婦やその家族に対して行う保健指導に役立ててもらう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、2020年1月頃に、モンゴル国内の倫理審査委員会に書類を提出し、2020年4月頃から調査を開始する予定であった。しかし、予定よりも少し早く、モンゴル国内の倫理審査委員会に提出する書類の準備を開始することができ、2019年5月にアチ医科大学の倫理審査委員会に書類を提出し、2019年6月に研究実施の承認を得ることができた。そのため、2019年10月より、対象者のリクルートを開始することができた。 対象者のリクルートは、ダルハンオール県総合病院で実施しており、2020年3月末の時点で264名の妊婦から調査参加の承諾を得て妊娠初期の調査を実施している。さらに、追跡調査として、妊娠中期・妊娠後期の調査も実施している。対象者のリクルートは、2020年9月まで継続し、その後は、リクルートした対象者の追跡調査を実施する予定である。 2020年3月に調査の進捗状況確認のためモンゴル国に渡航をする予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、モンゴル国への入国が制限され、渡航ができなくなってしまった。しかし、現地調査員とはメールや電話等で連絡を取りながら、研究の進捗を確認し、適宜指示を出しながら調査を進めている状況である。新型コロナウイルスの感染が収束し、モンゴル国への渡航ができるようになったら、できるだけ早い時期に、研究の進捗状況確認のために渡航する予定である。また、冷凍保存してある尿検体を検査会社に運搬し、検査の依頼をする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在モンゴル国で調査員に進めてもらっている研究の進捗状況確認のため、2020年3月にモンゴル国に渡航する予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、モンゴル国への入国ができなくなってしまったため、研究の進捗状況を実際に目で確認することができていない状況である。そのため、新型コロナウイルスの感染が収束し、航空便やモンゴル国内での移動が正常に復帰した後にモンゴル国へ渡航し、現在までに採取した尿検体を検査会社に運搬して、尿中コチニンの測定をお願いする予定である。また、現在までに実施した質問紙調査のデータを入力する予定である。 現地で調査を実施する上で何か問題が発生していないか等を確認し、問題があればそれを解決していく。また、調査に必要な物品の不足などがないか、また、今後必要になる物品を確認し、その補充をして、調査の実施に支障がないようにしていく予定である。 分娩が終了している調査参加者がいれば、その方の入院中のカルテを確認し、妊娠中や分娩中の経過や異常の有無、新生児の出生時の情報(身長、出生時体重等)を収集していく。
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Causes of Carryover |
2020年3月にモンゴル国に渡航し、調査の進捗状況を確認する予定でいた。また、その際に、調査で得られた尿検体(冷凍保存中)を検査会社に運搬し、検査依頼する予定でいた。しかし、新型コロナウイルスの感染症拡大の影響で、モンゴル国への渡航ができなくなってしまい、渡航にかかる旅費(航空賃、宿泊費、国内旅費等)や、検査キットの購入費用、検査依頼費等の費用が発生しなかった。そのため、当該年度の使用額が所要額よりも少なくなってしまった。 当該年度に使用できなかった助成金は、次年度、新型コロナウイルスの感染が収束し、モンゴル国への渡航が可能になった後に使用する予定である。モンゴル国への渡航にかかる費用(航空賃、宿泊費、国内旅費等)や、冷凍保存してある尿検体を検査会社に依頼するための費用にあてる予定である。また、尿中コチニン測定に使用する検査キットも購入する予定である。
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