2021 Fiscal Year Research-status Report
高齢糖尿病患者のセルフケア支援のためのアセスメントツールの開発
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19K19706
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
山岸 直子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (10320821)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 高齢者 / セルフケア / アセスメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高齢糖尿病患者のセルフケアを支援するためのアセスメントツールを開発することである。今年度は、高齢糖尿病患者のセルフケア支援のためのアセスメントツールを作成する上での基礎資料を得るため、高齢糖尿病患者のセルフケア支援のための熟練看護師のアセスメントについて明らかにすることを目的とし、Ⅲ.「高齢糖尿病患者のセルフケア支援のための熟練看護師のアセスメントの明確化」のための質的記述的研究を実施した。 研究対象者は糖尿病看護に携わる看護師5名で、2022年3月に半構造的インタビューを行い質的記述的方法に基づき分析した。看護師の臨床経験平均年数は29.2年、糖尿病ケア経験平均年数は13.4年であった。看護師は、データ、薬や器具の余剰などから≪問題への気づき≫をし≪問題への気づきから確認のための情報収集≫を行っていた。情報収集では≪なんでも話せる関係性の構築≫を基盤とし≪患者の反応をみながら得ていく情報≫、≪多方面から捉える患者の実状≫を行っていた。また加齢や疾患による≪身体機能低下の状況把握≫や≪認知機能低下への気づき≫をふまえ、≪これまでできていた手技や管理方法の適切性の確認≫、≪問題としてよくあがる低血糖の把握≫について意図的に情報収集しアセスメントしていた。また、≪長年培われてきた考えや生活状況、人となりの理解≫に重きをおき、≪生活の楽しみを維持できているかの判断≫も行い、≪生活スタイルを把握し自己管理の組み込み方の検討≫をしていた。そして、≪将来も見通し把握する家族サポート状況と本人の受け入れ≫や≪社会資源の活用状況の把握や必要性の判断≫をし、必要な支援につなげていた。これらの結果より、小さな変化への気づきから高齢者の特徴をふまえ情報収集を深め問題を捉えること、患者の行動理解や支援の方向性を見出すため長年の生活や人となりの理解が特に重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Ⅲ.「高齢糖尿病患者のセルフケア支援のための熟練看護師のアセスメントの明確化」のための質的記述的研究は、昨年度および今年度で実施予定であったが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大のため、病院に勤務する看護師へのインタビューが困難であり、予定通りのデータ収集が困難であった。遠隔でのインタビューに切り替えて対応を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、Ⅲ.「高齢糖尿病患者のセルフケア支援のための熟練看護師のアセスメントの明確化」のための質的記述的研究において追加のデータ収集を行い、Ⅳ.「高齢糖尿病患者のセルフケアを支援するためのアセスメントツール」の作成と評価の研究に取り組む。 Ⅳでは、これまで取り組んできた、Ⅰ. 「高齢糖尿病患者の自己管理の実際と支援ニーズ」に関する研究データからのアセスメント項目・指標の抽出、Ⅱ.高齢糖尿病患者のセルフケア支援に向けたアセスメントに関する文献検討、およびⅢの結果を統合し、高齢糖尿病患者のセルフケア支援のためのアセスメントツールを作成し、作成したアセスメントツールの妥当性について検討する。 妥当性の検討では、看護師からの個別インタビューを行い、作成したアセスメントツールを提示し妥当なアセスメント項目・指標か、改善した方が良い点、改善内容などをインタビューする。また、定量的方法も用いて専門家(糖尿病看護に携わる看護師、医師、研究者ら)による内容妥当性の検討も実施する。これらの妥当性の検討をふまえてアセスメントツールを修正する。
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Causes of Carryover |
国際学会及び国内学会への参加を予定していたが、新型コロナウィルス感染症の影響でWEB開催に変更となり、旅費の支出が不要となった。また、研究Ⅲのデータ収集を行ったが、全ての対象者のデータ収集が行えていないため、データ収集のための謝礼やテープ起こし代、旅費などの支出が残額となった。次年度以降は、状況に応じて学会参加費・旅費、およびデータ収集のための謝礼やテープ起こし代、旅費などで使用する。
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