2019 Fiscal Year Research-status Report
地域在住高齢者におけるバランス構造の解明とバランスの課題を判別する手続きの標準化
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19K19712
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
篠原 智行 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 講師 (70804384)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地域在住高齢者 / バランス / 転倒 / 歩行速度 / 筋力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はバランス検査であるBrief-BESTestを用いて、地域在住高齢者の個別のバランスの課題を判別することを目的とする。そのために、Brief-BESTestの6要素の構造的特徴や臨床的意義を明らかにし、対象者のバランスの課題を判別する基準や妥当性を示し、判別の手続きを標準化することを目指している。 2019年度は、研究実施計画に沿って横断研究より開始した。各地の地域グループ活動に参加する65歳以上の地域在住高齢者を対象として、Brief-BESTestをはじめ、筋力や筋量、歩行速度、認知機能検査、生活状況の調査などのデータ測定を重ねた。その解析結果を元に、Brief-BESTestに含まれる6つのバランス要素の特徴を明らかにするため、筋力や筋量、転倒との関連性を検証し、学会にて発表を行った。バランス機能は筋肉量より筋力の影響を受けること、また、6つのバランス要素は筋骨格系検査との関連性がそれぞれ異なり、中でも予測的姿勢制御は筋力との関連性が強いこと、バランスと転倒との関連性は対象者の筋量によって異なり、筋量が少ない高齢者では歩行安定性が転倒と関連することなどを報告した。学会発表での質疑や、他研究者との意見交換を踏まえて、Brief-BESTestの6つのバランス要素が転倒及び歩行速度との固有の関連性について再解析を重ねた上で論文化し、現在は2編の論文査読を受けている。 多変量解析に備えてデータ数を増やすため、次年度も横断研究を継続する。また、身体機能や生活予後、転倒との関連を含めたバランスの課題を明らかにするため、次年度は縦断研究を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた横断研究は概ね実施できた。しかし、新型コロナウィルス感染症の影響によって、3月に予定していたデータ測定は中止した。多変量解析や層別解析をするための十分なデータ数には至らず、データ測定を継続する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は地域在住高齢者を対象にデータ測定をするため、研究協力者と各地域に伺うことが必要である。しかし、新型コロナウィルス感染症の影響により接触を避けるため、地域に伺ってデータ測定をすることが不可能である。2020年夏までに6カ所でのデータ測定を予定していたが、そのほとんどが中止となる予定である。バランス検査をはじめとする実測は困難であり、再開の見通しはつかない。しかし、縦断研究として、転倒や生活状況を評価することは郵送法を用いて行える可能性があるため、現在、これまでのデータ測定をさせて頂いた各地域と郵送法を用いたデータ収集の検討をしているところである。いずれにしても新型コロナウィルス感染症の影響で社会が混乱している状況のため、社会の状況を把握しつつ、安全に研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していたデータ測定が新型コロナウィルス感染症の影響で中止となった。データ測定にかかる費用は次年度に使用する予定であるが、現在はデータ測定が実施できる状況にないため、郵送法など別の方法によるデータ収集を計画し、かかる費用に充てる。
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Research Products
(3 results)