2022 Fiscal Year Annual Research Report
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19K19723
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
永井 宏達 兵庫医科大学, リハビリテーション学部, 准教授 (00633348)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 転倒ヒヤリハット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は60歳以上の地域在住高齢者を対象とした横断研究である。日常と過去一か月の転倒ヒヤリ発生の有無と原因(つまずき、バランスの崩れ、すべり、その他)、過去一年間の転倒発生の有無と原因を調査し、転倒ヒヤリと転倒発生の実態について記述統計にて分析した。また、転倒ヒヤリと転倒の原因についての関連性を見るためにCramer’s連関係数を用いて分析した。 研究に参加した高齢者717名うち、除外基準に該当した23名を除外した。解析対象694名(75.5±5.8歳)のうち、過去一年間で転倒を経験した者は145名(20.9%)であった。また、転倒群のうち、転倒ヒヤリを日常かつ過去一か月で経験した者は44名(30.3%)、日常では経験していないが過去一か月で経験した者は29名(20.0%)、日常でも過去一か月でも経験していない者は72名(49.7%)であった。さらに、全対象者を転倒ヒヤリの状態で3群化すると、日常かつ過去一か月でヒヤリを経験した者(以下A群)は96名、日常では経験していないが過去一か月で経験した者(以下B群)は72名、日常でも過去一か月でも経験していない者(以下C群)は526名であった。各群の転倒者数はA群で44名(45.8%)、B群で29名(40.3%)、C群で72名(13.7%)と、A,B群ではC群より有意に転倒の頻度が多い結果となった(p < 0.001)。転倒ヒヤリと転倒の原因の関連性を分析すると、強い関連がみられた(v = 0.76)。 日常的に転倒ヒヤリを経験した人ほど転倒率が上がることが明らかとなった。また、転倒ヒヤリと転倒の原因は類似し、関連性が強いことが示された。以上より、臨床現場において、転倒ヒヤリの有無や原因を聴取した上でのリスク管理や予防的介入は、転倒の減少に寄与する可能性がある。
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