2020 Fiscal Year Research-status Report
閾値下うつ病のためのスマートフォンアプリケーションの開発と効果検証
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19K19724
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
平尾 一樹 群馬大学, 大学院保健学研究科, 准教授 (70568401)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 閾値下うつ / スマートフォン / アプリケーション / うつ病 / メンタルヘルス |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、前年度実施したパイロットランダム化並行群間比較試験の結果を分析した。32名の閾値下うつ病の人々(女性=34.4%、平均年齢=20.06歳)を1日約10分間、5週間にわたってSPSRSアプリケーションによる介入を行う群(実験群;n=16)と、介入を行わない群(コントロール群;n=16)に無作為に割り付けた。主要評価項目は、5週間の介入後のCenter for Epidemiologic Studies Depression Scale(CES-D)スコアのベースラインからの変化であった。副次評価項目は、5週間の介入後のKessler Screening Scale for Psychological Distress(K-6)スコアとGeneralized Anxiety Disorder 7-item Scale(GAD-7)スコアのベースラインからの変化であった。その結果、実験群はコントロール群に比べ、CES-Dスコア、K-6スコア、GAD-7スコアにそれぞれ中程度、小程度、小程度の改善が認められた(adjusted Hedge's g = -0.64, -0.29, -0.40)。これらの結果から、SPSRSアプリケーションによる介入は、閾値下うつ病の人々の抑うつ症状を軽減できる可能性が示唆された。加えて、今年度はこれらの結果をまとめた論文を学術誌に投稿し、掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、パイロットランダム化並行群間比較試験の結果を分析し、結果をまとめた論文が学術誌に掲載された。 以上のことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
SPSRSを用いた5週間にわたる介入に対する効果は検証したが、SPSRSの即時的な効果については不明である。多くの介入は、即時的な効果よりも反復的な累積効果を重視する。しかし、介入の即時効果は、臨床的にも方法論的にも重要な意味を持っている。累積効果は慢性的な抑うつ症状に対処するのに役立つかもしれないが、日常生活で頻繁に起こる予測不可能な刺激から生じる抑うつ気分には対処できない。また、条件付けや期待などの心理的要因を考慮すると、抑うつ気分の即時的な改善は、閾値下うつ病の人々の治療継続の動機付けとなり、さらなる治療効果をもたらす長期的な介入への参加を促進する可能性がある。このような理由から、今後はSPSRSアプリケーションによる介入が閾値下うつ病の中心的な症状の1つである抑うつ気分を即時に改善できるかどうかをパイロットランダム化並行群間比較試験にて検討する予定である。
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Causes of Carryover |
概ね予定通りに予算を使用したが、10,818円の残額が生じた。これは、誤差範囲の金額と考えている。未使用額は次年度のその他(消耗品など)に充てることとしたい。
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Research Products
(3 results)