2020 Fiscal Year Research-status Report
超スマート社会で活用できるデジタルネイティブ世代の育児への向き合い方尺度の開発
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19K19728
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大西 竜太 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (20824717)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | デジタルネイティブ / 育児 / 尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、2つの実態調査と1つのインタビュー調査を実施した。また、実態調査の一部について分析を進め論文を作成し、公表された。 1.デジタルネイティブ世代の育児に関する実態調査 一つ目に、デジタル社会の中での育児への取り組み方について、3歳児を持つ母親800名を対象に、郵送法による自記式質問紙調査を実施した。配布数800部、回収数440部(回収率55.0%)であった。一部のデータ分析の結果、母親の世代によって育児でのインターネットやアプリケーション使用の傾向に差が認められ、世代毎の使用傾向に応じた育児支援を行う必要性が示唆された。この結果について既に論文を作成し掲載されている。その他のデータ分析は進めている最中である。 二つ目に、スマートフォン(以下、スマホ)を用いた育児の不安への対応について、6~11ヶ月児を持つ母親500名を対象に、郵送法による無記名自記式質問紙調査を実施した。配布数500部、回収数293部(回収率58.6%)であった。分析の結果、調査対象の全ての母親が育児の不安や気がかりに対してスマホで解決を試みた経験を有していた。また、育児自己効力感が高い母親はスマートフォンを用いて不安に対処した結果として安心感を得やすく、孤独感を抱える母親はスマホを用いて不安に対処した結果としてさらなる不安に苛まれやすいことが明らかになった。現在、データ分析を進めている最中である。 2.デジタルネイティブ世代の育児への向き合い方に関するインタビュー調査 上記の3歳児を対象とした質問紙調査の回答者の中から希望者にインタビュー調査を実施した。32名の幅広い世代の3歳児を育てる母親に対し、育児への向き合い方やデジタル社会の中での子育てについて60分~120分の半構造化面接を個別に1回実施した。現在データ分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インタビュー調査の実施が予定より1年遅れている。遅れている理由は、開発予定の尺度の評価に必要なデジタルネイティブの程度を測定する尺度について本研究での使用が難しくなったため、当初予定していなかった実態調査を行う必要が生じたためである。遅れながらも、実態調査およびインタビュー調査は終えることができているため「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.インタビューデータより尺度原案を作成 インタビュー調査の分析を進めることで、「デジタルネイティブ世代の育児への向き合い方尺度」の原案を作成する。 2.尺度開発に向けた予備調査の実施 作成した尺度原案を用いて、幼稚園・保育園を利用中の母親100名を対象に尺度の予備調査を実施する。項目分析および因子分析により、項目の適切生を吟味し、本調査用の尺度項目を作成する。 3.実態調査およびインタビュー調査の結果の公表 2020年度に行った調査結果について学会発表および論文作成にて公表する。
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Causes of Carryover |
当初予定していなかった実態調査とその結果の公表を行うため、40万円の前倒し支払い請求を行なった。実態調査は予定通りに実施したものの、その結果の公表は一部分のみの実施に留まった。結果として予定していた論文作成費用(英文校正および掲載料)に余剰が生じ、約17万円の持ち越し額が生じた。 持ち越した金額は、論文の英文校正などの論文作成費用に使用する予定である。
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