2020 Fiscal Year Research-status Report
暮らしの場におけるdementia-friendlyな環境評価ツール日本版の作成
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19K19730
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山崎 由利亜 千葉大学, 大学院看護学研究科, 助教 (50759107)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知症フレンドリーな環境づくり / 環境評価ツール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、暮らしの場におけるDementia-Friendlyな環境評価ツール日本版を作成することである。2020年度はDementia-Friendlyに関する文献検討、オーストラリアで開発された環境評価ツール(EAT-HC原版)の日本語訳版の作成を計画した。 これに対し、2020年度は1)Dementia-Friendlyな環境に関する文献検討、2)順翻訳ならびに作成過程の見直し、3)新たな調査計画の立案と準備に至った。1)~3)の実績に関する詳細は次の通りである。 1)では、国内外の研究動向について検討し、特に国内の研究動向について成果報告に至った。「日本における認知症フレンドリーな環境づくりに向けた取り組み」として、CiNiiとPubMedを検索エンジンとし、研究論文のみならず学術誌掲載の特集記事を含む公開された幅広い論文をレビューした。結果を第40回日本看護科学学会にて発表した。 2)では、日本語を母語とする翻訳者2名による独立した順翻訳の後、第3の翻訳者を交えた翻訳内容のチェックと内容の検討を踏まえ、順翻訳Ver.1を作成した。ツール開発に関する文献検討に基づき、日本の暮らしの場の特性に合わせた環境評価に向けた課題の焦点化が必要と判断し、ツール作成ステップに専門家からの意見聴取を加えることとした。 3)では、ツール順翻訳Ver.1の作成が終了し、続けて2)で付加することとした専門家からの意見聴取に関する計画を立案した。高齢者向け住まいの施設管理やケア責任者を担う有識者らへのインタビュー調査として、所属施設の倫理審査委員会からの承認を得、対象者選定を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、翻訳者と研究者のみで順翻訳から逆翻訳まで進める計画であったが、日本の高齢者住まいの環境に合ったツール作成を進める上で、文化や高齢者向け住まいの状況に関する調査を追加することとした。また、この調査は高齢者向け住まいの施設管理者やケア責任者を対象としており、対象施設によって、COVID-19に関連した繁忙状況によりアクセスが難しい場所もあった。 上記、追加調査と調査対象フィールドの状況により、本研究計画はやや遅れている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の遂行上の課題として、2021年4月に他研究者による類似研究に関する成果公開があり、本研究の独自性と発展性を明瞭にする必要性に迫られた。本研究と類似研究では、ツール活用の対象フィールドにおいて見解が異なる。以上を踏まえ、本研究の今後の推進方策として以下のように立案する。 多様化する高齢者向け住まいにおいて、それぞれの施設における施設管理者やケア責任者からの意見聴取を通し、施設種別や施設の特性と、認知症フレンドリーな環境評価に関する実態や課題、展望・要望を調査し、それらの関連性について考察する。この調査結果を踏まえた上で、日本の多様な高齢者向け住まいで活用できる認知症フレンドリーな環境評価ツールの基盤を構築することとする。
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Causes of Carryover |
計画段階では日本語訳版ツールの作成まで完了を見越していたため、逆翻訳にかかる費用までが支出される見込みであったが、文献検討ならびに類似研究の公開からツール開発の手順を見直し、専門家への意見聴取の段階を組み込んだ。 専門家への意見聴取にかかる計画立案、倫理審査等の準備や、対象専門家のうちコロナ禍の影響を受ける高齢者施設職員である者については研究への参加協力依頼が滞ったため、逆翻訳の段階まで研究が進まず、それにかかる費用が残った。
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