2021 Fiscal Year Research-status Report
COPD及び結核等肺病予防をめざした地域卒煙グループプログラムの開発及び検証
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19K19737
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
白谷 佳恵 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40724943)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 卒煙 / グループ / COPD / 結核 / 依存 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度はグループプログラム開発のための卒煙ニーズの抽出について、文献検討及び喫煙者へのインタビュー調査により実施した。 文献検討では、介入研究32編についてPRECEDE-PROCEED Model(Green,2005)の枠組を用い質的に分析した.結果において「健康」として心身状態,ニコチン依存状態,「行動要因」として喫煙期間・量,過去の断煙試行状況,飲酒状況,行動変容段階等,「環境要因」として受動喫煙状況,ソーシャルサポート状況等が抽出された。介入内容では「準備要因」として喫煙の意味・リスクの理解,卒煙の理由・利点・実践方法の学習,禁断症状及び誘惑への対処法の学習,ストレス・感情のコントロール等,「強化要因」として専門職等の受容的理解,ピア間の喫煙・断煙経験の共有,自己開示による自身の理解及び目標像の設定,社会資源の活用等,「実現要因」として卒煙計画の検討,卒煙試行時のフィードバック等が抽出された. 習慣的喫煙者へのインタビュー調査では、喫煙の習慣化に至る経験及び卒煙に向けたニーズを記述することを目的とし習慣的喫煙者13人(42.0±9.0歳、男性8人、女性5人)へ半構造化面接を実施し質的に分析した。結果において喫煙の習慣化として<環境の煽り>、<帰属による便益><蝕まれる正常性>、<行為の固定>、<流失していく資産>の経験が抽出され、卒煙に向けたニーズとして<専門家からの理解>、<仲間との共鳴>、<当時者への関与>、<自信の回復>のカテゴリが抽出された。以上より、習慣的喫煙者の身体面だけでなく心理的依存、行為そのものによる生活及びコミュニケーションへの侵食かつ固定化にも着眼した検討の必要性が考えられ、グループプログラムの内容として,関連知識とともに医療につながる以前からピアグループによる卒煙計画の検討や卒煙試行時の経験共有等を取り入れた働きかけの必要性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画における本年度内容は、暫定版卒煙プログラムの実施であった。卒煙プログラム内容については、グループにおける信頼関係ならびにダイナミクスを重視した下での関連内容の学習、体験や目標・計画の共有、現状を可視化できる肺年齢測定等を骨子としていた。実際の開催回数は3回であり、昨今のコロナ禍の影響を受け、グループでの活動はすべてオンライン(Zoom)による実施となり、肺年齢等の測定は行えなかった。グループ活動参加者においては、回を重ねる毎に知識を向上するに留まらず、主体性や意欲が高まり、また自己開示・内省を深め、さらには他のグループメンバーへの配慮も深め、グループダイナミクスを深めていた。一方で活動形態の観点からは、参加が負担にならない活動頻度とともに、対面による直接的なコミュニケーションの負担から本年度のオンライン(Zoom)による形式を望む声が聴かれた。肺年齢測定については、自身での数値による可視化ならびに経過の把握に関しては要望があるものの実際の参加には各人の決心や行動のための本人自身の動機や周囲のサポートを要することが把握された。 卒煙のニーズを有する習慣的喫煙者をサポートできるグループ活動の在り方について、上記の状況を踏まえ修正していく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き卒煙ニーズの明確化を定性的・定量的に行い、グループプログラムの開発をめざす。グループプログラムにおいては、コロナ禍による人びとのコミュニケーションスタイルの変容を踏まえ、オンラインによるプログラムを充実させる。 最終年度においては、卒煙ニーズに関し定性的・定量的に明確化することに努め、そのうえでオンラインによるグループプログラム内容を標準化し、評価指標案を抽出する。
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Causes of Carryover |
プログラム実施の縮小に伴う余剰が生じた。次年度オンラインプログラムを開発するためのホームページ開設費用に充当する。
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