2019 Fiscal Year Research-status Report
社会的スキルの発達に影響を及ぼす育児環境の明確化と育児支援プログラムの開発
Project/Area Number |
19K19738
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
細川 陸也 名古屋市立大学, 大学院看護学研究科, 助教 (70735464)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 社会的スキル / 学校不適応 / 小学校高学年 / 思春期 / 育児環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
小・中学校における学校不適応は増加傾向にあり,2017年度の不登校児童生徒数は14万人に達し,過去最多を記録した。不登校や問題行動などの学校不適応が増加する背景として,児の社会的スキルの未発達が指摘されている。申請者は,2014年から追跡調査を実施し,幼児期から小学校低学年にかけての社会的スキルの発達に影響を及ぼす育児環境の特徴を明らかにしてきた。しかし,学校不適応のリスクが最も高まる小学校から中学校への移行期における育児環境の特徴は未だ明らかとなっていない。学校不適応を防ぐためには,幼児期から思春期にかけての連続した育児環境が,社会的スキルの発達にどのように影響を及ぼしているのかを明らかにし,根拠に基づいた育児支援を行うことが重要である。本研究の目的は,小学校高学年から中学校にかけての社会的スキルの発達に影響を及ぼす育児環境の特徴を明確化し,育児支援のための環境指標を開発することである。本研究は,社会的スキルに着目した育児支援を通じて,学校不適応の防止に寄与することを目指している。 調査は,名古屋市内の児を対象に,小学5年生(10歳),小学6年生(11歳),中学1年生(12歳)の時点で,3年間の追跡調査を実施する。調査方法は,郵送法にて自記式質問紙調査を実施し,その成果をもとに,社会的スキルの発達を促す育児環境の指標を作成する予定である。2019年度は,小学5年生(10歳)を対象とした調査を実施し,過去の追跡調査結果を含め,社会的スキル等の発達に関連する育児環境についての分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は,小学5年生(10歳)を対象とした育児環境及び児の発達に関する調査を実施し,過去の追跡調査の結果(2014年-2018年の5歳-9歳児を対象)と統合し,社会的スキル等の発達に関連する育児環境の特徴について分析を実施した。分析の結果,主に,学童期における両親の関係性と児の問題行動との関連,親の養育態度と児の問題行動との関連,家族機能と児の問題行動との関連,地域の居住環境の特性と児の問題行動及び社会性の発達との関連,身体活動を支援する親の養育態度と児の身体活動量との関連などについて明らかにし,論文投稿や学会発表を通じて,研究成果の報告を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,上記の育児環境及び児の発達に関する追跡調査を継続していくとともに,それらの研究成果をもとに,社会的スキルの発達を促す育児支援のための環境指標を作成する予定である。具体的には,2020年度は,小学6年生(11歳)への追跡調査の実施及び社会的スキルの発達を促す育児環境指標の素案の作成,2021年度は,中学1年生(12歳)への追跡調査の実施及び育児環境指標の信頼性・妥当性等の検証を行い,社会的スキルの発達を促す育児支援のための環境指標の完成を目指す。
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