2021 Fiscal Year Research-status Report
認知症終末期ケアの質向上を実現する症状マネジメント尺度の開発
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19K19760
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
湯本 淑江 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (00755184)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知症 / 終末期 / ケアに関連する苦痛 / 尺度項目開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の計画として「認知症終末期の症状マネジメント尺度」案の専門家会議を行い、精度を向上させるとともに尺度案の内容的妥当性について確認すること、本調査を開始することを予定していた。高齢者施設という対象施設の特性上、COVID-19の影響が大きく継続しているため積極的な調査の遂行が困難だった。2020年度より継続して尺度案の再分析を行い、完了した。分析の成果として「ケアによって引き起こされている症状・状態」と「終末期の経過として出現する症状・状態」という複数の苦痛の起因要因が存在する可能性が確認された。また、その2つの起因において総計16個の苦痛症状・状態と、その細項目として38の状況を抽出することができた。この分析については、再現性の検証を分析をおこなった研究者とは別の2名の研究者間にて行い、高い一致率(Cohen's Kappa:0.92)を得ることができ、精度も確認されている。今回の分析により明らかになった、「ケアによって引き起こされている症状・状態」の存在の可能性は、過去の知見では明らかにされていない要素であり、今後の認知症終末期における苦痛症状・状態のマネジメントのアプローチの新らしい視点をもたらす可能性がある。この結果は、2022年度開催の国際学会にて公表予定である。さらに、専門家会議の協力者を確保し、2022年度内で専門家会議、予備調査、本調査を行うべく倫理審査の準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の感染拡大防止に伴う措置として、所属機関の指針による移動制限や在宅勤務措置等により研究活動が制限された。また感染症拡大防止、負担増回避の観点から、対象となる高齢者施設への参加依頼が困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度内に、尺度案の専門家会議、予備調査、本調査を行う。専門家会議にて意見をもらう専門家へは、協力依頼が完了している。特別養護老人ホームにて終末期ケアの経験が豊富にある医療職・介護職複数名(5名程度)からの聞き取りと会議を行う予定であるが、非対面にて行うなど、協力者への感染対策を最優先する。 本調査は、郵送調査に加えて、信頼性の検討のため、2名の看護師による実際に高齢者の直接的な観察での苦痛評価を行うフィールド調査を計画していたが、昨今の感染状況等を鑑み、郵送調査のみに計画を変更する。郵送調査は2000施設を対象とすることを予定しており、これは、全国の特別養護老人ホーム(約8000件)のうち看取り行うと考えられる施設(7割:約5600件)の35%程度となるが、件数を絞って回収率の向上に尽力する。また、フィールド調査で行う再現性の確認について、郵送調査のうち、2割程度の施設を対象に、複数の看護師の同時回答を依頼し確認するという計画に変更する。 本調査終了後、データ分析を行う。データ分析の終了後、結果を国内外の学会または国内外の学術雑誌等にて成果を公表していく。
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Causes of Carryover |
COVID-19による2021年度の計画遂行の遅れのため、専門家会議、予備調査、本調査に使用する予算の執行がなかった。2022年度に専門家会議、予備調査・本調査に使用する調査票の印刷費、郵送費、データ入力の業務委託費、また結果を公開するための論文掲載料等に使用していく予定である。
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Research Products
(1 results)