2021 Fiscal Year Research-status Report
ネグレクトのハイリスク家族支援における「保健師が介入するタイミング」に関する研究
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19K19762
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Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
木嶋 彩乃 大分県立看護科学大学, 看護学部, 助教 (70759670)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ネグレクト / 児童虐待 / 児童虐待予防 / 保健師 / 介入 / タイミング / 意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、子どもネグレクトのハイリスク家族に対する保健師の「介入するタイミングを図る技術」を明確化することを目的としている。 2020年度までの保健師へのインタビューや文献検討により、介入するタイミングには、様々な背景が関係しており、判断の根拠を明らかにしていく必要性が示唆された。 介入判断には、対象家族のリスクアセスメントが必要であり、重点的に行われてきた背景がある。一方、海外では、リスクアセスメントと介入の意思決定は別物であり、区別するよう指摘されている。支援者が具体的な支援に結びつける過程や介入の意思決定までには、ケース要因の他に、外的要因、組織要因、支援者等の要因の存在が指摘されている。しかし、現在の児童虐待に関するアセスメントツールが、支援者側に着目しているかどうかは定かでないことが考えられた。そこで、2021年度は、児童虐待に関するアセスメントツールについて文献検討を行い、使用目的や内容の構造を類別、分析し、意思決定のフレームワークとの関連も検討した。その結果、児童虐待に関するアセスメントツールには、支援者側については含まれておらず、支援者の現状と特徴を明確にできるアセスメントツールの必要性が示唆された。支援者側の特性をアセスメントすることは、保健師が介入するタイミングを図るための一助となることが考えられる。海外では様々な要因の存在の指摘や枠組みはあるものの、具体的な中身については十分に明らかにされていない。また、日本の文化的特性から海外とは異なることが考えられる。 以上を踏まえ、支援者側の特性に関する内容や項目について、海外の文献から抽出・整理を行い、保健師へのインタビュー結果を参考に、項目の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献検討とインタビューを行った。介入するタイミングの判断に至るまでの過程に、様々な要因が関係していた。様々な要因のうち支援者側の特性に着目する必要性が明確となり、現在指摘されている特性については整理された。 新型コロナウイルス感染拡大の影響から、リクルートや面接の実施が、当初の予定より遅れていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
介入するタイミングの判断に影響する様々な要因のうち、焦点をあてるべき対象(支援者側の特性)が明確化された。今後は支援者側の特性が評価できるツールの作成に向けて、海外の文献検討で整理された支援者特性の項目について、保健師へのインタビューにより精錬させ、量的調査などを行っていく。インタビューでは、場合により対面が困難であることを考え、オンラインを取り入れるなど状況に応じて対応していく。
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Causes of Carryover |
子どもネグレクトのハイリスク家族の支援経験のある保健師に対するインタビュー調査の実施が予定より遅れているため、2022年度もデータ収集を重ねて行う必要がある。また文献検討結果やインタビュー結果を踏まえて作成される、介入のタイミングに影響を与える支援者特性の項目に関して、量的調査を実施する予定である。
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