2020 Fiscal Year Research-status Report
児童や前期高齢者に向けた整理整頓教育プログラムの開発と健康影響への効果評価
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19K19771
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
麻生 保子 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (80509646)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ため込み症 / 予防介入 / 地域看護職の役割 / 対象者理解 / 関係者支援 / 作業部隊の設置 / ハームリダクション |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:乳幼児や高齢者、障害者等要支援者は家屋内生活時間が長く、乱雑な住居によるアレルギー関連疾患の他、転倒や火災等、健康への影響は大きい。在宅要支援者やため込みのある人を訪問する機会が多い地域看護職の「ため込み状態」への予防介入支援に関する文献検索を行った。 方法:Pubmed等国外データベース5種と、医中誌Web等国内6データベースを用いた。分析は地域看護職の役割についてGarrardのマトリックス方式を用いて、①研究目的②研究方法③サンプルデータ収集国④対象⑤Intervention⑥Comparison⑦分析方法⑧Outcome⑨地域看護職の役割⑩公衆衛生サービスへの期待で整理した。 結果:国内原著論文は0件、国外文献13件がヒットし、地域看護職の役割に関する記載は、対象者理解や本人・家族との支援関係の確立と維持、健康リスク評価と保健医療サービスの調整や提供、理解促進に向けた関係機関教育、介入支援等多岐に渡っていた。 本研究の意義:国外で先行する本分野であるが、地域看護職は、対象者理解と関係機関との連携を重視し、地域ケアシステムを作りながら解決をはかっていた。その方法は、ため込み行動そのものを中止させるのではなく、安全面・健康面に注力し、対象者との信頼構築を図りながら、在宅生活の維持継続を図ることを主流としており、我が国の地域看護職における実践的対応と大きく相違はない。新たな知見として、強迫性障害で母親が娘に対して過保護かつ低ケアの場合はため込み症との関連が強く、この事を実践活動に生かす必要が示唆された。これらに加え公衆衛生サービス全般への期待は、現場で介入支援する作業部隊の設置やモニタリング機構の確立、清掃労働者や関係者を感染症他様々なリスクから保護するためのガイドライン作成などが挙げられており、我が国における今後のため込み症支援への有用な知見と考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実施計画において、我が国の生涯学習としての「整理整頓教育」に関して、数や内容、対象者および評価効果の有無等に関する実態調査を行う予定でいた。通常、行政等が行う生涯教育は集合・対面型で行う事が多い。また、対象者の住居内の整理整頓を支援しながら、その方法を伝える民間(個人)ベースの整理整頓教育も家庭訪問が中心である。 令和2年1月から中国武漢で発生し、全世界に拡大した新型コロナ感染症は対象者が1か所に集まる集合研修型生涯教育の実施の有無に影響を及ぼしたことは間違いない。また、サービス事業者を家庭に入れる事により成り立つ個別教育に関しても、その内容の実態調査を行うことは、平常時の状況を把握できない可能性が高く、今年度は実態調査を見合させた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、整理整頓教育に関する生涯教育の数や内容、評価方法について、全国 市町村等を対象に、郵送留め置き法による質問紙調査を検討していた。しかし、集合型研修や対面での学習が多い我が国の行政での生涯教育において、本研究手法は見直しが必要である。一方、新型コロナ感染症拡大によるテレワークやスティホームの推進により、室内空気質の向上や住居内衛生、事故予防のための環境整備は一層重要性を増している。 特に住居内生活時間の長い乳幼児、学童、高齢者、障害者等要援護者の住居内環境整備は重要な課題である。そこで、これら要援護者と同居中の家族も含めたインターネット調査を行う方法も検討したい。 家族を対象とした理由は、対象集団である要援護者はインターネット利用をしない集団のためである。 課題としては、「ため込み症」の方は孤立との関連も指摘されているが、本調査方法では、孤立し、かつインターネットを使わない層への調査ができない課題がある。
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Causes of Carryover |
令和2年度に全国市町村の整理整頓教育に関する実態調査を郵送留め置き法で行う予定であったが、新型コロナ感染拡大による緊急事態宣言発令による全国での生涯教育中止の状況を鑑み、令和2年度の実態調査は延期とした。実態調査に関しては、感染収束状況を検討しながら、また、家族に向けたインターネット調査を活用し実施する予定である。 訪問看護師、保健師、ケースワーカー、介護支援専門員や家事援助者、介護職員等対象者の在宅生活を支援する様々な職種に、対象者が整理整頓を行う上での支援上の留意点を調査する予定だが、方法は、現地へ出向き面接、またはZoom等遠隔によるインタビュー調査を行う予定である。感染拡大状況と、インタビュー対象者の通信環境状況に合わせて検討したい。
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Research Products
(1 results)