2022 Fiscal Year Research-status Report
児童や前期高齢者に向けた整理整頓教育プログラムの開発と健康影響への効果評価
Project/Area Number |
19K19771
|
Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
麻生 保子 和洋女子大学, 看護学部, 教授 (80509646)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 価値観の尊重 / 在宅生活の継続 / 協働 |
Outline of Annual Research Achievements |
児童や高齢者は家屋内の生活時間が長く、乱雑な住居での生活はアレルギー関連疾患の他、転倒や火災など健康への影響も懸念される。 筆者は、整理整頓が苦手な12歳~54歳を対象とした家庭訪問を含む整理整頓教育が一定の効果がある事を見出したが(ASO,et al.2021)、本研究においては多世代汎用型・ユニバーサルデザインの整理整頓教育プログラムを開発し、対象者の住環境を改善する事により健康状態の向上を目指す事を目的とした。 まず、「ため込み症予防に向けた地域看護職の役割」を文献レビューし、地域看護職は対象者理解と関係機関との連携を重視しながら、支援システムを作り、解決をはかっている事、そしてその方法において「ため込み行動そのものを中止させるのではなく、安全面・健康面に注力し、対象者との信頼構築を図りながら、在宅生活の維持継続を図ること」を主流としていた事を見出した(ASO,2021)。これらの知見は主に、ため込み症対応先進諸国からの報告であった。そこで、2022年度は、我が国における生活衛生上課題のある在宅療養者を家庭訪問により支援する、様々な専門職の支援実際について調査を行った。 対象とした職種は保健師、理学療法士、コミュニティソーシャルワーカー、環境衛生監視員であった。調査の結果、アセスメントの視点は、職種ごとに異なる一方、支援の方向性は「在宅生活が継続できるように」「ご本人の価値観を尊重した」等、一致していた。また、具体的な改善へ結びつける方策として、「片づけそのものをリハビリの一部とする」「片づけや観察を通して、近隣や関係機関との接点を持ち続けられるように支援する」「目標を細分化し、ご本人の意向を確認しながら近隣やご家族とできる範囲で進める」等、協力者を得てご本人が孤立しないよう働きかけを行っていた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ感染症拡大により生涯学習全般が中止や延期が余儀なくされた。また、児童・高齢者を支援する保健医療福祉職や教育関係者は新型コロナ対策を優先せざる負えない状況が続き、調査を行う時期は感染状況が落ち着くまで待つ必要があった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、挑戦的萌芽研究で開発した教育介入プログラムを多世代汎用型に改良・実施し、健康影響への効果を測定する予定である。 新型コロナ感染症が感染症法上5類に移行されたが、児童や高齢者等、感染への要配慮者への対応は今後も慎重に行う必要がある。感染状況を見極め、テレビ会議システム等を用いて行う方法や家族等を対象とした内容に変更する事も検討する。 介入効果の主要評価項目は、溜め込み状況によるストレスとし、副次評価項目は、居室の乱雑度等とする。測定用具は日本語版Saving Inventory-Revised質問表、日本語版Clutter Image Rating自己写真判定表を使用予定である。なお、子どものため込み行動尺度は日本語版が未開発であり、英語版を日本語へ翻訳し児童への質問表とする予定である。
|
Causes of Carryover |
今年度予定していた、日本語版子どものため込み行動評価尺度の開発にあっても、新型コロナ感染拡大時の行動制限下では通常のため込みストレスを評価する事は難しい。また、対象が児童・高齢者であり、家庭訪問を含めた生涯教育はコロナ禍で行う事は困難であった。そのため、新型コロナ感染拡大が治まるまで待つ必要があった。新型コロナ感染症が感染症法上の5類に移行され、家庭訪問を含めた生涯教育を行いやすくなったが、児童や高齢者等、要配慮者への実施には油断を許さない。感染状況に応じて適宜、可能な範囲でテレビ会議システムや家族への実施、テキスト配布等へ切り替えて実施する。
|