2021 Fiscal Year Research-status Report
実行機能課題と小型センサを用いた転倒スクリーニングデバイス開発に関する基礎研究
Project/Area Number |
19K19772
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
松田 憲亮 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 准教授 (40549961)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 実行機能 / 関節運動量 / 立位姿勢制御 / 定量的評価 / 小型センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
健康寿命の延伸の為,効果的な介護予防事業が期待される.その為,認知症や転倒に関する的確なスクリーニングが重要であると考える.近年,認知機能の1つである実行機能は,歩行の調節にも関与することが報告されており,高齢者の実行機能低下は,転倒との関連性に深く関与する.本研究は、1)臨床応用可能な小型センサと実行機能に関わる課題を用いて、課題中の立位姿勢制御を定量的評価すること.2)実行機能に関わる課題中の立位姿勢制御の測定値について、転倒予測指標として利用可能であるかを検証することである. 対象は本研究に同意した若年成人29名と地域高齢女性40名の計69名として計測を実施した.基本情報として,性別,年齢,BMI,骨格筋量,身体活動量等のデータを収集した.実行機能の計測には2m先にスクリーンを設置,Stroop課題を投影,反応時間計測装置により課題反応時間と課題正答率を計測した.各課題反応時間からStroop干渉時間を算出し,実行機能指標とした.認知課題中の立位姿勢制御の計測については,2m先にスクリーンを設置,プロジェクターにより視覚情報や認知課題を投影,重心動揺計上に裸足で静止立位を取ってもらい実施した.測定条件は,①前方の星印を注視する静止立位,②フォームラバー上で前方の星印を注視する静止立位,③フォームラバー上でStroop課題+静止立位とし,総軌跡長および静止立位中の下肢関節角速度を計測した. 現在まで解析結果として,地域高齢者群は若年成人群と比較して,Stroop課題反応時間と実行機能指標は有意に増加,①②③の測定条件における静止立位の総軌跡長(立位不安定性の指標)は全て有意に増加することを認めた.認知課題中の立位制御に関する関節運動量についてはデータ解析が遅れている状況にあり,今後,結果を提示していく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在,若年成人29名と地域高齢女性40名の計69名の計測を終了した.また,取得データである静止立位における角速度から関節運動量を算出するためのデータ解析を実施している状況にある.COVID19感染拡大の影響により、対象者との非接触を余儀なくされ、データ収集が遅れ,データ取得の追加ができない状況が継続している.これらを背景に予定よりも研究進行が当初よりも遅くなっている. また,関節角度量の算出に伴うPCの不調に伴い,データ解析が遅れている状況にある.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,所属機関が所在する地域の感染リスクが終息する傾向が観測された場合、転倒歴のある高齢者のデータ取得追加を行っていく.高齢者被験者募集には,体力測定事業参加者や学内研究者の支援・協力を仰ぎ、データ取得を円滑できるよう,計画を修正していく. また,取得したデータから認知課題中の立位制御に関する関節運動量の解析作業を進行させ,実行機能指標との関係性を評価する.本研究結果について,関連学会にて学会発表を行い,研究論文の作成,論文投稿準備の段階へステップアップする.
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Causes of Carryover |
今年度,コロナウィルス感染拡大の影響により,研究計測が限定された期間の中で実施されたが,転倒歴のある高齢者等の計測が困難となり,計測における人件費の支出が少なく残高が生じている.また,計測データの解析が遅延し,研究発表や研究論文作成の未使用により残高が生じている. 差額については次年度へ繰り越し,人件費,学会発表,研究論文作成投稿の費用に支出する予定である.
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