2022 Fiscal Year Research-status Report
実行機能課題と小型センサを用いた転倒スクリーニングデバイス開発に関する基礎研究
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19K19772
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
松田 憲亮 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 准教授 (40549961)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 実行機能 / 高齢者 / 立位姿勢制御 / 転倒 / 小型センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究目的は 1)臨床応用可能な小型センサと実行機能に関わる課題を用いて、課題中の立位姿勢制御を定量的評価すること 2)実行機能に関わる課題中の立位姿勢制御の測定値について、転倒予測指標として利用可能であるかを検証することであった. 2022年度は、分析対象者を若年女性群21名、高齢者群25名、転倒リスク高齢者群12名の3群とした.実行機能の指標であるStroop干渉時間後、①前方の星印を注視する静止立位、②フォームラバー上で前方の星印を注視する静止立位、③フォームラバー上で実行機能課題+静止立位の3条件において、重心動揺、足関節、膝関節、股関節運動の累積角度を算出し、3群間比較を行った.また、転倒指標であるFunctional Reach Test(FRT)、Timed Up and Go Test(TUG)、実行機能課題中の立位姿勢制御の測定値との相関性について検討した. 統計解析の結果、他の2群と比較し、転倒リスク高齢者群の特徴として四肢骨格筋量、FRTの有意な減少、Stroop干渉時間の有意な増加を認めた.立位における下肢関節運動の累積角度は、測定条件①②において足関節の累積角度の群間変動を認めた.測定条件③では他の2群と比較し、転倒リスク高齢者群の股関節前額面、股関節水平面の累積角度で有意に増加する特徴を認めた.また、測定条件③の関節運動の累積角度は、転倒リスクの指標であるFRTやTUG測定値との弱いまたは中等度の相関性を認めた. 若年成人と比較し、高齢者の立位では床面の不安定性により足関節運動の累積角度が増加し、床面の不安定性に加えて実行機能課題を実施する場面では、各関節運動の累積角度は増加することを確認した.特に転倒リスクを持つ高齢者では股関節・膝関節運動を増加させ、立位姿勢調節を行う可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分析を実施する角速度センサ、PCの不調があり修理期間が必要であった。また、課題中の関節運動の累積角度の算出に当たり、時間を要したが、最終的には円滑に処理することが可能となった.また、性別による交絡因子を調整するため、若年成人対象を女性とし、地域在住高齢女性、転倒リスク高齢女性の3群間で比較する必要があり時間を必要とした.
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ渦の影響を受け、データ収集、データ解析が円滑に進行しなかった.今後は取得されたデータの解析方法の妥当性、統計解析を含め、結果の検討を十分に行う.また、高齢者の転倒リスクの指標としてFRTを用い、対象高齢者を転倒リスクあり、転倒リスクなしの2群に分け、各課題条件の関節累積角度を比較検討している.FRT測定値、実行機能指標等との関連性を検討し、臨床応用を模索する. また、研究結果を基に関連する学会において、研究結果の公表を実施する.続いて、論文作成、英文校正を行うとともに論文投稿および研究結果の公表を模索する.
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Causes of Carryover |
取得されたデータについて、学会発表、論文作成および論文投稿(英文校正費・雑誌投稿費用を含む)に関する費用が必要である.
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