2023 Fiscal Year Annual Research Report
実行機能課題と小型センサを用いた転倒スクリーニングデバイス開発に関する基礎研究
Project/Area Number |
19K19772
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
松田 憲亮 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 准教授 (40549961)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 実行機能 / 高齢者 / 姿勢制御 / 転倒 / 加齢 / 小型センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
認知機能の1つである実行機能は歩行調節にも関与し、高齢者の実行機能低下は、転倒との関連性に深く関与する。しかし、転倒予測には、実行機能の要素が含まれず、スクリニーングとして十分ではない。また、実行機能活動中における立位制御機構については明らかにされていない。本研究目的は 1)臨床応用可能な小型センサと実行機能に関わる課題を用いて、課題中の立位姿勢制御を定量的評価すること 2)実行機能に関わる課題中の立位姿勢制御の測定値について、転倒予測指標として利用可能であるかを検証することであった。 研究対象者は若年女性21名、高齢女性25名、リスク高齢女性12名の計58名であった。対象者については、基本属性(年齢、BMI、四肢骨格筋量)実行機能の指標であるStroop干渉時間、移動能力、Functional reach test(FRT)を計測、実施した。また重心動揺計と3軸角速度計を使用し、①安定条件 ②不安定条件 ③実行機能課題を伴う不安定条件の3つの条件で姿勢動揺と下肢関節の累積角度の視点から立位姿勢評価を実施した。 リスク高齢者女性については、他の2群と比較して四肢骨格筋量、FRT、実行機能の低下が特徴的であった。本研究の結果、不安定条件では若年成人女性と比較して、高齢女性とリスク高齢女性の姿勢動揺が増加、同時に足関節の累積角度の増加が確認された。実行機能課題を伴う不安定条件下では、高齢女性とリスク高齢女性の姿勢動揺の増加と膝関節・股関節の累積角度増加が特徴的に観測された。 これまで認知的および姿勢的要求を調整する実行機能リソースが加齢とともに減少、姿勢動揺が増加することは報告されている。本研究の結果は、立位姿勢調節を補うために必要な認知作業の減少、および加齢に伴う実行機能の低下による姿勢維持のための股関節戦略の不安定性および活性化の増加に関する新たな知見を提供した。
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