2019 Fiscal Year Research-status Report
有料老人ホームでの看取りに向けた事前意思確認のあり方と看護の役割に関する研究
Project/Area Number |
19K19780
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
金原 京子 関西医科大学, 看護学部, 講師 (20454738)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 介護付き有料老人ホーム / 看取り / 事前意思確認 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、介護付き有料老人ホーム(以下:有料)の入所者は急増し、施設内で最期を迎える人も半数を占め、有料にも高齢者の終の棲家としての機能が求められるようになった。しかし、特別養護老人ホーム(以下:特養)に比べると、病院に搬送され亡くなるケースが多く施設内での看取りは少ない。有料は特養に比べ利用者の自立度が高く、長期入所が多いという特性があるため、利用者に対し中長期的に丁寧な意思確認を行い、施設として看取りに向けた体制を整えていくことで施設内での看取りは増やせると考える。 特養に比べ有料のケアのあり方に関する調査研究はまだまだ少ないことから、研究1年目である2019年度は、有料における看取りの実態把握のため郵送による自記式質問紙調査を実施した。調査項目は、施設属性、施設内での病院搬送と看取りの件数、事前意思確認のタイミングや意思確認に関わる職種、情報共有の方法、施設内での看取りに対する施設の姿勢や取り組み状況等であり、本邦の高齢者の看取りや有料に関する文献検討と当該領域のスーパーバイザーからの助言を受け作成した。送付対象は独立行政法人医療福祉機構が管轄するデータベースWAMNETに登録され、特定施設入居者生活介護の指定を受けている有料とし、開設間もない施設では看取り実績も少ないため2017年以前に開設された施設1,800件(全数の約半数)とした。本学の倫理審査委員会の承認を得た後、2月の中旬~3月末にかけて施設管理者および事務職、相談員、介護・看護の責任者に対し郵送し、covid-19の影響が出始めた時期ではあるが、285施設(回収率15.8%)から回答を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目に介護付き有料老人ホームにおける看取りや看取りに向けての事前意思確認の状況を把握するための質問紙調査を行うという当初の予定は遂行できた。しかし、アンケートの実施時期がCOVID-19の深刻さが増してきた時期と重なったため、回収率に一定の影響があったと考える。今回、回答を得られた調査票は、こうした中でも回答頂けた貴重なデータであるため、今後、丁寧に分析をすすめていく。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度は実態調査の結果をもとに、大阪府下の介護付き有料老人ホームに勤務する看護師に半構成的なインタビューを行い、入所が長い利用者で施設内看取りにつながった事例と救急搬送先で死亡した事例各々での入所時~死亡までのプロセスをふりかえり、意思確認をどの様に行っていたか、意思確認の時期の見極めや、説明や対応で工夫したり心掛けていたこと、困難を感じたこと、情報共有の状況等についてインタビュー調査を行う予定である。 しかし、COVID-19の影響から看護職が多忙を極めていることが予想されるためインタビュー調査の実施についての目途が立てにくい状況である。インタビューが行える状況になった時に向けてインタビュー調査に関する倫理審査委員会への申請手続きは速やかに進める。また、実態調査については分析を進め、学会発表、学会誌への投稿を行う予定である。
|