2019 Fiscal Year Research-status Report
反すうに着目した新しい認知行動療法プログラムの開発と効果の検討
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19K19781
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Research Institution | Kobe Tokiwa University |
Principal Investigator |
江口 実希 神戸常盤大学, 保健科学部, 講師 (40631718)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 反すう / 気分 / 抑うつ気分 |
Outline of Annual Research Achievements |
反すうは抑うつ気分の原因・再発・維持要因であることが示唆されているが、有効な対処方法は確立されていない。そこで、研究者は抑うつ気分を有する成人を対象に「反すう」から離れることに着目した認知行動療法を援用したプログラムを開発した。本課題では開発したプログラムの評価を目的としている。 今年度の目的は、開発したプログラムの客観的な評価方法の検討であった。そこで大学生を対象に調査票と生理学指標を用いた評価を行った。 研究①:大学生10名を対象に2週間プログラムを実施し(介入群)、前後比較を行った結果、気分の改善効果、(怒りと他者への反感を示す“怒りー敵意”、自信喪失を伴う抑うつ気分を示す“抑うつー落ち込み”、疲労感、無気力感、活力の低下を示す“疲労―無気力”の有意な低下、他者に対するポジティブな感情を示す“友好”、気分、情動、心理的な苦痛の全般的な指標である“TMD”の有意な上昇)と、セロトニン値、コルチゾール値の有意な低下がみられた。反すうの得点は介入前後で低下したが有意差は示されなかった。 研究②さらに、対照群(介入の待機群,大学生14名)と介入群のデータを比較した。介入群は待機群より気分悪化が少ないことが推察された。セロトニン値、コルチゾール値の群間での有意差は示されなかった。 しかし、客観的な指標として用いたセロトニン値とコルチゾール値は、測定条件や対象者間のばらつきが大きく、交絡要因の影響が強いことが推察された。今後、客観的指標の再検討が課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
プログラムの評価方法の再検討と介入時期の調整を行った。今年度は、8週間のプログラムを10名に実施予定であったが、介入期間の短縮の必要性が生じた。次年度以降に8週間のプログラム介入と介入効果の追跡を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、プログラムの効果を抑うつ気分を有する成人に対して並行群間比較試験を用いて評価することを目的とする。コロナウイルス感染症により予定していた介入スケジュールの変更の必要性が生じたため、状況にあわせた調整が必要である。
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Causes of Carryover |
プログラムの介入期間の短縮により、予定していた予算の余剰が生じた。次年度以降のプログラム介入と評価、プログラムのブラッシュアップに活用させていただきたい。
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