Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は,精神科デイケアに通う抑うつを有する成人を対象にランダム化比較試験を行った(プログラムを受講する介入群と,受講しない対照群(通常治療群)に無作為に割り付けた).介入群は,週に1回,1回60分(全8回)のセッションで構成するプログラムを実施した.セッションは主にマインドフルネス訓練(呼吸法)と心理教育で構成した.セッションのない日は,呼吸法を1日10分程度行い実施状況の記録するように依頼した.効果測定は,介入前,4週間後,8週間後と,介入群のプログラム終了1ヶ月後,3ヶ月後に行った. 結果,70名が参加を希望した.参加希望者のうち,適合基準を満たさないもの(23名)と,辞退したもの(10名)の合計33名を除外し,最終的に37名の参加者がランダムに2群に割りつけられ,そのうち30名(介入群16名,対照群14名)のデータを分析に用いた. 参加者の属性(性別,年齢,通院歴,デイケア通院歴,内服状況,GAF)に有意な群間差は見られなった.主要疾患は,統合失調症であった. 介入効果では,反すう制御に群×時間の交互作用が認められた(F(4,107.931)=3.027, P=0.021).また,抑うつ症状は,時間の主効果が(F=2.863,P=0.042),抑うつ気分では,群の主効果が認められた(F=8.560,P=0.004).さらに,認知の偏りのうち,先読み(F(4,109.044)=3.567,P=0.009),深読み(F(4,108.413)=3.799,P=0.006)に群×時間の交互作用が認められた.なお,介入群の呼吸法の平均実施時間は,1001(±958)時間,平均実施日数は87.4(±60)日であった.
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