2021 Fiscal Year Research-status Report
GABA作用から探る運動麻痺回復時の脳可塑性に訓練の違いが及ぼす影響の検証
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19K19785
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
佐藤 ちひろ 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (70757468)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リハビリテーション / 脳卒中 / 脳出血モデル / 脳梗塞モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は線条体内へのコラゲナーゼ注入により作出した運動麻痺を呈する脳出血モデルラットを用いて、脳損傷後のK+-Cl-共輸送体(KCC2)発現を検証した。 KCC2発現の評価は蛍光免疫染色により行った。昨年度までの運動機能回復の結果をもとに、発症からの経過日数別にKCC2発現量の解析を行った。解析はKCC2シグナルの輝度を比較した。また、経時的変化を観察する目的で、観察時点は、発症後24時間、5日、7日および28日目として各時点における脳切片を作成した。 その結果、いずれの時点においても損傷領域(線条体)周辺のKCC2発現は対側の同領域に比べて明らかに少なく、脳出血発症に伴いKCC2発現が減少していた。つまり、脳出血後においては血腫により損傷された領域におけるGABA-グルタミン酸連関の変動を生じ、ネットワーク再編のために一過性にGABAの作用を興奮性に転じさせている可能性がある。 さらに、リハビリテーションを実施した際には、その変動の様子が異なる可能性があることから、リハビリテーションを実施した動物の脳切片も同様に検証したが、KCC2発現の傾向は同様であった。 現時点では観察時点およびサンプル数が少ないため、上記の可能性についてはさらなる検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は産後休業に伴う実験の遅れがあったが、KCC2の変動を評価する染色条件が決定できたことから時点別の変化を捉えることが出来るようになった。 これは前年度のうち最も重要な計画であり、評価の継続により経時的変化を観察することが出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
脳卒中後の脳可塑性へのGABA-グルタミン酸連関の影響を明らかにするために、損傷後に生じるKCC2変動が起こる時期やその程度の検討が必要である。また、それらは個体における運動麻痺改善と上記変動との関連に基づいて検討する必要がある。 次年度は、脳卒中モデルのサンプル数を追加して発症後からの時期別に観察を行うことで、経時的変化を明らかにするとともに、昨年度までの成果をもとに脳卒中発症に伴い生じるGABA作用の反転が運動麻痺回復に与える影響を検証していく予定である。 また、運動などのリハビリテーションがその変動に及ぼす影響について検証する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響により、成果発表を予定していた学術大会がオンライン開催となり、計上していた旅費が不要となったため。また出産に伴う休業期間が生じたため。 次年度にも継続して実験消耗品(染色用試薬等)や動物の購入・飼育が必要となるため、繰り越した費用は消耗品代として必要となる予定である。
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Research Products
(5 results)