2022 Fiscal Year Research-status Report
腱板病変を有する患者の肩痛に関与する運動学的因子の解明とリハビリテーション応用
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19K19786
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石川 博明 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (30597828)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腱板断裂 / 三次元動作解析 / 筋活動 / 肩関節 / テーピング |
Outline of Annual Research Achievements |
日常診療で肩関節痛を主訴に来院する患者は多く、上肢挙上運動を伴う日常生活動作や就労に大きな支障をきたしている。これらの患者の70%以上は腱板周囲に何らかの病変をきたしているが、必ずしもこれらの病変自体が痛みの原因ではない。特に、腱板断裂患者においては断裂があるにも関わらず症状のない患者が数多く存在することから、腱板周囲の病変に何らかの因子が加わることで疼痛が引き起こされると考えられる。我々は、疼痛を引き起こす要因として肩甲骨の運動異常に着目し、痛みのある有症候性腱板断裂患者は無症候性腱板断裂患者と比べて肩甲骨上方回旋角度が有意に減少していることを明らかにした。つまり、肩甲骨上方回旋の減少に伴う力学的負荷の増加が疼痛に関わっている可能性がある。しかし、肩甲骨運動は上方回旋だけでなく、前後傾や内外旋を含む三次元の複合運動である。また、腱板断裂のない腱板炎や肩峰下滑液包炎患者の肩甲骨運動と疼痛との関係は明らかでない。本研究では、(1)腱板病変を有する患者を有症候群と無症候群に分け、肩甲骨の三次元運動を比較すること、(2)有症候群に対して、テーピングを用いて肩甲骨の運動異常を修正する介入を行った際の疼痛の変化を調べることで、疼痛に関与する運動学的因子を明らかにし、効果的な治療介入へと繋げることを目標とする。 2022年度は、腱板病変を有する患者35名(67肩)の測定データを解析した。この解析データをまとめ、国内外の学術集会での発表または学術誌への投稿準備を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスが蔓延した影響もあり、腱板病変を有する患者のリクルートに難渋した。そのため、データ収集が遅れ、研究計画の変更を与儀なくされた。
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Strategy for Future Research Activity |
解析データをまとめ、国内外の学術集会で発表、国際誌への投稿を通じて研究成果を発信する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度の研究使用額は、研究計画が遅れ、研究期間を延長したことにより発生した。次年度は、研究遂行に必要な消耗品の購入、学会発表、論文作成のために使用する予定である。
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