2020 Fiscal Year Research-status Report
Pain and Mental Imagery: Imagery Rescripting for Chronic Pain
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19K19789
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
高梨 利恵子 帝京大学, 文学部, 講師 (30755848)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 慢性疼痛 / 認知行動療法 / イメージ書き直し / 遠隔認知行動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦の疫学調査によれば、慢性疼痛の有病率は13.4%~39.3%と報告されているが、痛みの原因疾患を特定できいない事例もあること、さらに慢性化による心理・社会的な問題が加わることから難治となることも少なくない。エビデンスを持つ慢性疼痛への心理療法として認知行動療法があげられるが、これまで介入する認知は言語的、陳述的な認知に限られることが多かった。近年様々な精神疾患において、症状の発現時に現れる、映像のような認知である心的イメージが疾患の維持要因となっていることが報告され、このイメージを書き直す(rescripting)ことにより、症状改善がみられるというエビデンスが蓄積されてきている(イメージ書き直し技法;imagery rescripting)。疼痛患者の約80%が疼痛時に破局的な過去や将来についてのネガティブな心的イメージを繰り返し体験しているという報告があり、このイメージを書き直すことにより、痛みや痛みによる生活障害を引き起こす認知と行動の悪循環を良循環に変えていくことが期待できる。 2年目となる2020年度は、前年11名の慢性疼痛患者を対象として行ったパイロットスタディである、イメージの内容及び性質を探索する半構造化面接と、イメージ書き直し技法の結果をまとめて、報告準備を行った。また、この実践を踏まえ、6名の実施担当者(臨床心理士3名、看護師2名、精神保健福祉士1名)に実施上の問題点および改善点を尋ねるアンケート調査を行い、調査を反映してマニュアルの改訂を行った。改訂されたマニュアルを用い、新型コロナウィルス感染症流行の事態を鑑み、遠隔でイメージ書き直し技法を実施して効果を検証するためのシングルケース実験デザインを作成し、倫理申請・承認を受け患者リクルートを開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の流行を受け研究の開始や患者リクルートに予想外の時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き被検者募集サイトや千葉大学病院麻酔科、整形外科を中心に、必要に応じて他施設への患者リクルートを行い症例を登録していく。目標症例数は申請者らのチームがこれまでに実施した慢性疼痛に対する認知行動療法の臨床試験(シングルアーム、無作為割り付け試験)及び、イメージ書き直しの効果を検証したシングルケース実験デザインの先行研究を踏まえ12例とする。
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Causes of Carryover |
2020年度に次年度使用額が生じた理由としては、新型コロナウィルス感染症流行により、予定していた研究補助者の採用をしなかったために人件費の使用が、また国内外の学会発表が行えなかったため、旅費の使用がなかったなどのためである。使用計画としては、論文の英文校正、抜き刷り、感染症の状況を鑑みながら国内外へ研究成果の報告を行うための旅費などである。
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